Archive for September, 2010

[#SmartGrid #スマートグリッド] スマートグリッド管理システムの各州での状況分析: アメリカの本当の強さを発見

September 30, 2010
スマートグリッド関連の市場調査で各種のレポートを発行しているPike Research社によると、今後のスマートグリッド市場は、「スマートグリッド管理サービス」と呼ばれるカテゴリーが急激な成長を遂げる、と予測している。 具体的には、2010年から2011にかけて年成長率=75%、金額規模にして$4.7億ドルから$8.21億ドルへの成長である。この調子で成長を続けると、2015年までには$43億ドル規模になる、と見ている。
このスマートグリッド管理サービス、具体的に何かと言うと、スマートメータ、AMIインフラの導入に伴って、いよいよこれらのメータから収集する大量のデータを分析し、コンシューマの立場から見て付加価値の高いサービス(オフピークの価格割引、障害の早期検知・対策、電力消費の節約ソリューション、等)を提供するためのシステム全体を指す。

スマートグリッド管理サービスの中でもっとも伸び率が高いのは、デマンドレスポンス(DR)を含むアプリケーションアウトソース事業である、としている。 これが2015年までには、電力インフラのアウトソース事業、さらにビジネスプロセスのアウトソース事業が大きく伸びる可能性が高い、としている。

北米各州において、スマートグリッドの実証試験が展開され、現時点では一通りメータの実装が完了しているところが多い。  しかし現状では、メータを導入しても、電力会社サイドの情報管理インフラが整備されていないため、メータの本来の性能を活かしたデマンドレスポンスや障害検知・対策システムを展開しているところは殆ど無いのが現状。 下記の通り、各州での現時点での取り組みを簡単にまとめる。

Maryland州、Baltimore市
Constellation Energy社の子会社であるBaltimore Gas & Electric(BGE)社は、Accenture社とOracle社と組んで、自社の抱える1200万人のユーザに対するスマートメータネットワークの構築を行う事を発表している。 主たる機能は、次の通り。

・  電力需要ピーク時の消費削減
・  顧客サービスの向上
・  操業の効率向上

この管理システムの導入によって、BGE社はMaryland州の消費電力を15%削減する事ができる、と期待している。  

Accenture社は、システム全体の設計、構築、そして管理を行う事を役割を担い、次のシステム開発を計画している。
・  顧客Webポータルシステム
・  メータデータ管理システム(Meter Data Management System:MDM)
・  スマートメータネットワーク(Advanced Meter Infrastructure:AMI)
・  BGE社の従来運用していた顧客管理、課金、障害管理等のシステムの統合

MDMには、Oracle社の技術的が採用される事になっており、各家庭に設置されているメータから発生する大量のデータの管理と分析を効率良く行い、顧客に対して詳細な電力消費情報の提供やそれに伴う電力消費ピーク時の平準化を実現する計画。  また、障害時の様々な対策をリアルタイムで効率良く行う事を目的にOracleのUtilities Network Managementシステムの導入を計画している。

これらのIT技術の導入により、BGEは北米で初めて、「Smart Energy Pricing」と呼ばれる、ピーク時の電力消費を率先して削減したユーザに対して、リベート(料金の割引)を提供するしかけを導入する事を計画している。 既に、2008年と2009年にはAccenture社のサポートを通して2回のパイロットプロジェクトを実施しており、ピーク時に22〜37%の電力消費削減を実現している。これが本格的に実現出来る様になると、今後計画されている需要増化に伴う発電所の建設コストを大幅に削減できる、と期待している。

Hawaii州
ハワイ州は、SAPと組み、州内の40万人を対象にクリーンエネルギー化を目指した施策を展開する方針を取っている。SAPに委託しているのは、次のプロジェクト。
・  顧客管理システム
・  コールセンタ
・  課金システム
・  メータデータ管理システム(MDM)

ハワイ州は、HCEI(Hawaii Clean Energy社Initiative)と呼ばれる州内の関連する省庁内で契約関係を結び、Division of Consumer AdvocacyとHawaiian Electric Companyが推進母体となってハワイを全国に先駆けて、2030年までに代替エネルギーで州内の電力消費の40%を供給する計画を進めている。

従来のインフラにおいて、Hawaiian Electric社は顧客に対してより詳細な電力消費状況を伝えるためのニーズに直面しており、SAPの開発した、SAP® Customer Relationship Management and Billing for Utilitiesと呼ばれるソリューションを導入する事により、顧客に対する統合的な顧客サービスを提供できる様になる、との事。


Colorado州、Colorado Springs市

Open Systems International, Inc. (OSI)社が、Colorado Springs Utilities社から自社のガス、水道、電気供給システムに対する新しいエネルギー管理システムの導入の委託を受けた。

Colorado Springs Utilities社は、Colorado州のPikes Peak地域に住む65万人を対象としたガス、水道、電気の供給している。管理システムの改善にOSI Systems社を選んだのは同社の高い信頼性と実績を評価している、と述べている。

OSI Systems社は、同社のmonarch™ (Multi-platform Open Network ARCHitecture)と呼ばれるプラットホーム製品で、次の様な機能を提供する。
・  次世代Microsoft .NET ベースの GUI
・  SCADA 機能
・  リアルタイムと履歴情報に基づいた電力消費分析
・  DNP, Modbus, Vancommプロトコルをサポートする通信フロントエンドプロセッサ
・  履歴情報のデータ管理、アーカイブシステム
・  負荷管理、負荷分散機能
・  電力供給管理の自動化
・  Unit Commitment/Transaction Evaluation
・  短期的な電力需要の予測
・  ネットワークのセキュリティ分析
・  OLTPインフラ
・  電圧制御

Florida州、Orlando市

Orlando Utilities Commission(OUC)は、Siemens社のeMeter EnergyIPと呼ばれるMeter Data Managementシステム(MDM)を採用する事を発表している。 このSiemens社の技術を採用し、31.3万人世帯の電力供給に対するサービス向上を目指す。

Siemens社に期待されているのは、MDMに関する製品技術を持っているベンダーとしての技術力のみならず、OUCの保有する2種類の顧客管理システムやバックオフィスシステムを統合する事ができるMDMシステムの優れた技術力とプロジェクト管理能力である、とOUCのDirector of Applications Systems, Dan Holverson氏が述べている。

OUCは、このシステムの導入によりよって、次の様な改善を提供する事を計画している。

・  各家庭に対する課金の制度の向上

・  顧客サービスのスピード向上

・  メータの読み取り速度と精度の向上

・   リモートでのメータの読み取り機能

・  停電時の対策の効率向上


Kansas州、Lawrence市
同市の電力会社、Westar Energy社は、Elstar社の技術を採用し、同市内の4.8万台のスマートメータ導入、及び管理を実施することを発表している。

Elster社の提供する製品は EnergyAxis Smart Grid Solutionと呼び、次の様な機能を提供する事ができる計画されている。

・  リアルタイムの電力グリッドの監視
・  コンシューマに対して、日頃の電力消費状況をモニターできるためのサービス
・  サービス全体を信頼性の向上
・  電力障害時の対策のスピード向上

Westar社は、他数社のスマートグリッドソリューションを提供するベンダーとの間の評価の中から選ばれている。 このLawrence市のスマートグリッドプロジェクトは、アメリカ政府、エネルギー省(DoE)から$1900万ドルの助成金を受け取っており、この助成金を受け取るための政府に対する詳細な申請書類、特に技術情報や、セキュリティに関する関係書類等の作成にもWestar社は大きく伸びる寄与している、と報告されている。 


Atlanta州、Georgia市

Atlanta南西地域での最大の共同電力会社である、Cobb Electric Membership Corp.(Cobb EMC)社は、自社の顧客である、20万世帯に対するスマートグリッドソリューションの実装にSensus社の技術を採用した。 Sensus社は、自社開発のスマートメータと、Sensus Flexnet Advanced Metering Technologyと呼ばれる管理システムを導入する事により計画。

Cobb EMCがSensus社の技術を選択する決断をした最大の理由は、下記の理由による、と発表されている。

・  FCCライセンスが必要な周波数帯域を使った通信インフラを採用しているため、混線の無い信頼性が高いネットワークが保障できる。

・  従来のユーティリティシステムとの統合が容易で、分散自動化、負荷分散、従量課金、顧客向けのエネルギー消費監視システム等の統合的な構築が可能。

もう一つのメリットとして、Cobb EMC社のCOO、Chip Nelson氏が次のことを述べている。

“We will now be able to automate meter reads, removing an anticipated 30 trucks off the road, and leverage greater intelligence for applications such as proactive detection of outages.”

このシステムの導入で、メータの読み取りが自動化され、従来の利用していたトラックを30台削減する事ができると共に、電力障害時の検知がより高精度で行うことができる。

Cobb EMC社は、顧客に対する十分な情報伝達に特に心がけている模様である。 自社のWebサイトでの情報提供に加え、スマートメータの設置と同時に各家庭に対して、新しいメータの機能やメリットを説明するレターを届け、電話でフォローアップする、という徹底振りである。特に2011に計画している、価格変動システムの導入で向けて、各家庭内における電力消費の上手な節約方法について、教育していく予定である。 


Missouri州、Kansas City市

Landis+Gyr社は、Kansas City Power & Light (KCP&L)社のスマートグリッドデモプロジェクトに対して、メータ管理、グリッド自動化のシステムである、Gridstreamソリューションを提供することを発表している。

このプロジェクト、特に、各家庭向けにプログラミングができるサーモスタット、家庭内に設置するモニター装置、ホームエリアネットワーク(HAN)等の実装を行う事にに力を入れている点が特徴。さらに、KCP&L社のスマートグリッドプロジェクトは、ソーラーパネルの設置、EVの充電ステーション設置、蓄電池装置の設置などにも積極的に取り組む。

まずは、今年の10月から、Landis+Gyr社とKCP&L社は、Gridstream RF スマートグリッド技術をを実装開始し、スマートメータと電力会社のネットワーク間の双方向通信インフラを実装する。対象地域は、”Green Impact Zone” と呼ばれる、Kansas Cityのミッドタウン地域の都市部とする事を計画している。 



まとめ

各州におけるスマートグリッドの導入による技術やアプリケーションは、大体似た様なものがある、という事がよくわかる。  主体となっているアプリケーションも、現時点においては電力会社の運用コストやリスクを下げるための施策が多く、あまりコンシューマに対するメリットとしてクリアになっているものが多くないが、今後増えていく、という期待が大きい事も各社の状況を見て強く感じる所である。 

いづれにしても電力会社が、従来もっていたITシステムの統合も含めて、外部のベンダーにアウトソースする、というパターンはスマートグリッドの導入においてはかなり多くなる、と予測できる。 当然ながら、GE、Siemens、等の電力ソリューションの大手ももちろん、Oracle、IBM等の大手IT企業、Google、Microsoft等の大手インターネットベンダーの活発な提案活動が増える、と想定できる。

日本の電力事情も、インフラをより強化するためのIT導入はむしろ北米の電力会社より進んでいる、という面がある事から、あまり北米の様な動きはない可能性があるが、一旦、家庭内のHANとの接続、それに伴う、家庭内のITソリューション、特にコンシューマに対して明確なメリットになるITソリューションを(生活レベルを大幅に変える事なく電力消費を節約するソリューション、太陽パネル・蓄電池・EVの導入に伴う新しい電力の利用方法、等)提供する事に対しては、日本はかなり出遅れている、という印象を強く受ける結果となる。  

所詮、コンシューマが納得しない事には、スマートグリッドの導入は成功しない、という考え方が、主要電力会社の間で理解が深まり始めている、という点と、その問題を解決するために、具体的な技術をもつIT系の会社のソリューションがスマートグリッド市場に入る、動議的な理由が社会的に認められた、という事が言えるのではないか、と言える。  

複数業界が入り混じるスマートグリッドの市場、各業界がどの様に棲み分け、協業をしていくのか、業界内・業界間の理解が必要になってくるが、北米ではその相互理解のステップが完了したと思うと、非常に大きな構造的な課題を解決した事による、今後市場が急速に成長するのでは、という期待も強くなる。  冒頭のPike Research社の市場の急成長も、そういう考え方の元では十分に理解ができる。

アメリカのオープンな市場は、こういう所が本当に強い、と改めて思う所である。

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[#Cloud #クラウド] Amazon Web Serviceの登場で、企業が本当に考えなければいけない事:運用ガイドラインの提案

September 28, 2010
企業、特にエンタプライズにとって、クラウドコンピューティングはどのように使われているのだろうか? 最近多くなってきている記事は、企業の幹部の想像を大きく超えるクラウド利用が企業の中で展開されている、という内容のものが多い。

ある企業のCIOが、企業内のAmazon Web Serviceの利用状況の調査を経理部門に依頼したところ、何と50個ものAWSアカウントが存在する事が判明した、という事が報告されており、他の企業でも同様な状況を発見している。

北米においても、企業でのクラウド、特にAmazon Web Serviceの利用の現状については、意見が分かれている。 SMBやWeb2.0企業を中心として利用されて、大企業ではテスト・評価程度の利用しかない、という人と、大企業でのAWSの利用率は質・量と共に非常に高くなってきている、と述べる人と、大きく食い違う。

何故、企業の管理サイドが認識しない状態でクラウドコンピューティングの利用率がこれ程までに増えていってしまうのか、次の様な要因が考えられる。

調査会社である、RedMonk社のStephen O’Grady氏の分析が非常に興味深い。

RedMonkの調査によると、昨今の企業の中におけるIT技術の判断は、実質的には企業内のソフトウェア開発部門が実権を持っている、という興味深い分析結果がでている。オープンソースが登場し、企業の中で使われる様になってきた頃からこの傾向が強まった、と見ており、その影響で、いわゆるボトムアップ型のITソリューション導入をパターンが形成されている、と説明している。 このボトムアップ型のIT導入傾向にあるよって、会社の管理部門、特にCIOが皮肉にも企業内のITの状況を一番最後に知る事になる、という問題が発生している。

CIOが日頃接しているISVにもこのギャップを生む要因がある、とO’Grady氏は述べている。ISVの多くは、クラウドコンピューティングの非常にマージンの低いSubscription型のビジネスモデルを採用する事を基本的には避けたい、と思っており、従来の高マージン型のSIありきの導入プロジェクトを強くCIOに対して推奨する傾向がある、と指摘している。 特にクラウド側は価格競争に非常に長けているAmazon Web Serviceであればなおの事、避けたい、と思うところである。

当然、この傾向による問題点は管理部門とソフトウェア開発部門とのギャップだけに閉じない。組織が認識しない内に企業内のアプリケーションの導入が進み、企業内のガバナンス、特に個人情報、機密情報の管理にかかるルールや規制がアプリケーションが開発・運用を開始してから後付けであてがわれる、という状況が大きな問題となっている。 

レポートにおいては、企業としてどのようにクラウドを利用して行くべきか、いくつかのガイドラインを提案しており、今後の日本におけるクラウドソリューションの導入による際しても後付の導入ではなく、必要なところに積極的に導入できるProactiveな戦略の立ち上げが必要であろう、と述べている。

ガイドラインは下記の通り。

1。 企業としてクラウド状況がアプリケーションが運用する際のガイドライン等を早急に作る必要がある。

既に企業内でのクラウドの利用率はかなり高くなっている、という前提で、それをどのように企業内で管理、運用が出来るのか、ルール造りを進める必要がある。

非常に重要な要件は、各部門が意識していない、企業内のセキュリティ、監視、等の管理ルールをこういったアプリケーションに適用する必要がある、という事である。クラウドを導入する部門ユーザは、恐らくそういう問題に対しては殆どの意識せずに導入しているがケースが多いからである。O’Gradyは、これを Cloud Boomerang と呼び、利便性を優先したがために性急に導入したクラウドアプリケーションが企業内で結果的に問題を起こす要因になってしまう、という問題である。

クラウドアプリケーションを導入する際には企業内のIT管理を部門といっしょに評価を行うことがルール作りをする事の重要性を主張している。その際には、評価基準を必要十分の範囲にし、不必要な審査の時間をかけすぎない様にする配慮が必要である。 また、上記の企業内のコンプライアンスに関する要件は標準的に適用できる手法も必要であろう。

2。 コンプライアンスに関する分析、そして準拠のための手続きを明確にする

企業内のアプリケーションをクラウドに移行する、または新規のアプリケーションをクラウド上で導入する、等クラウドアプリケーションは様々な方法で企業内に入って行くが、いづれの方法においても企業内のコンプライアンス要件を満たす形で導入、運用が行われる必要がある。

クラウドアプリケーションをどの様な方法でコンプライアンス要件を満たすのか、専門のチームを企業内で組織化する必要もある。 

3。 クラウドアプリケーションへの投資については出来るだけコントロールできるる施策を

クラウドアプリケーションの企業内での浸透は、気がつかない内にドンドンと広がっていく、というのが特徴である。 初期投資が少ないうえに、コストも比較的安いため、非常に入りやすい、というのがその理由、とされている。 その広がり方はオープンソフウェアの広がり方と非常に似ている。

しかし、そのクラウドのコストも、広がりと共に総額が大きくなっていく、というパターンがよく見受けられる。どの様な使われ方なのかを分析した上で、計画的なクラウドの採用を促進し、従来のIT投資からの移行を図る、等の企業内IT戦略の見直しが必要になっていくる、と思われる。

重要なのは、社内のクラウド利用がコントロールできない状態まで放置しないために、早目に社内の仕組みを作っていく事であろう。

日本のIT市場においても、Amazon Web Services がどの程度企業内での使われているのか、把握するための手段、また利用状況が明らかになった時点で、どの様な対処をすべきなのか、社内のルールを明確にする必要がある、と思う。  一つの方法としては、完全日本シャットアウトする、というパターンがあるが、果たしてそれが長期的な視野で良策なのか、よく考える必要がある。  上記のボトムアップ型のIT戦略についてもある一定の評価を行い、効率性のいいアプリケーションは、その様な方法を積極的に採用する事も選択の一つである、と考えられる。その際には、十分状況をコントロールする仕組みは持ち、ガバナンス等、企業全体として必要な要件については十分対応できるる体制を持つ事が有効なのでは、と思われる。 

企業内に、クラウド採用・運用の専用組織が必要になってきている、と思われる。単純に技術的な評価だけではなく、コスト、ガバナンス、再利用性、等の面からも評価ができる専門組織が必要になってきている、と提案したい。

[#SmartGrid #スマートグリッド] 北米各州でのスマートグリッドプロジェクトの問題点の整理

September 27, 2010

電力事業者が新しい装置や機器を導入した際のコストを回収する為に、電力料金の値上げを行使するのはスマートグリッドに始まった事ではなく、昔から行っている手法である。  しかし、昨今のスマートメータの導入に伴う値上げには大いに問題がある、と各州で議題として取りあげられ、Ohio州やTexas州などのように、この慣習に規制をかける動きがでている。

Smart Grid Today誌の調査によると、Maryland州、Hawaii州、Michigan州、Indiana州、Colorado州、さらにVirginia州において、既にスマートグリッド導入による電気料金の値上げを禁止する条例の制定が行われている、との事。

多くのスマートメータ導入プロジェクトは、メータだけの導入に留まっている、という事が問題の原因である、と指摘されている。メータだけの導入では、その持っている性能を具体的なユーザメリットに活かす事が出来ない、という事である。 スマートメータを導入した各州は、「電力事業者がグリッドの信頼性向上」、「停電回数の削減」、「ソーラーパネルの導入に支援」等をメリットとして打ち出しているが、いづれもインフラの改善に関する内容で、ユーザの負担する電力料金値上げの妥当性を説明できる内容とは思えない。

AMI等、スマートメータを活用できるネットワークインフラの等、今後も積極的な導入が必要なシステムへの投資は、政府からの助成金や融資に期待するのではなく、民間の投資家からの支援に期待する事が重要である、という意見が多く登場している。 民間ではグリーンテクノロジーに積極投資する会社は多く、電力会社はその安定的な操業状態から、非常に信用力の高い投資になる、というメリットもある。 特に、セキュリティやプライバシーの保護に関するIT技術の導入はエネルギー省からも要求されており、専門家を含めた導入が必要になってくる。


下記に各州で行われている、スマートメータ導入に関する様々な問題点の整理を行う。各州において、PSC(Public Service Commission)、またはPUC(Public Utilities Commission)と呼ばれる州内組織が大きな役割を担っている。この組織は、州内のユーティリティ企業(民間、公共を問わず)の料金体系を監視する組織で、例えばスマートグリッドに関する予算状況、それに伴う市民に対する料金設定について、詳細に評価を行う機関である。各州で起きている問題は、主にPUC・PSCが指摘する形で露見し、料金値上げ等の申請にストップをかける、といった内容の動きが多い。

Colorado州、Boulder市

同市のスマートグリッドプロジェクトは、北米でも最も注目されていたものの一つであったが、電力事業者であるXcel Energy社の予算の大幅な超過が起因して、プロジェクト中断の恐れがでてきている程である。当初、$1530万ドルの予算でプロジェクトが完了する予定だったのが、現時点では既に$4210万ドルまでに膨れ上がり、最終的には一億ドルに達するのでは、という予測もある。 

Xcel Energy社 によると、予算超過の最大要因は、プロジェクトのパートナー企業の一つである、Current Group社に委託していた、通信インフラとして使用されるファイバーネットワークの工事にかかるコストであった、との事。

もう一点、大きな問題として指摘されているのは、プロジェクト自体が、州政府に対して、“Certificate of Public Convenience and Necessity,”と呼ばれる申請を行っていなかった、と指摘されているのは。 この申請を行う事によって本プロジェクトのコストが予算超過した際の補填を保障し、プロジェクトに対する投資の上限を設定できる内容のものである。この申請をしていなかった為に、Xcel Energy社は、コスト回収の為の電力料金の値上げを申請しており、州政府は$1100万ドルの値上げを承認している。

現時点において、Boulder市の住民でスマートメータが導入されている家庭は、全体の43%程度でほとんど本来の機能を発揮する用途に使われていない、との事。


Indiana州

現在、Duke Energy社は、当初のプロジェクトから大幅に縮小した計画書を改めて州政府に対して申請している段階。

当初の計画では、$4.5億ドルの予算で州全体に対するスマートグリッド導入の計画を立てていたが、州予算を承認する組織である、Indiana Utility Regulatory Commissionがこの計画を、「住民に対するメリットが見えない。」という理由で却下している。

修正に伴い、より小さなプロジェクトの申請が行われる事になった。今回は、予算$2200万ドルに下方修正され、スマートメータの台数も、80万台から、4万台に減らした。この縮小されたプロジェクトの結果をみて、その後州全体に適用するかどうかの判断を行う事である。


Michigan州

Michigan州の電力会社であるConsumers Energy社が当初予定だった、今後も5年間の$9億ドルのスマートグリッド予算を大幅に縮小し、$500億ドルに変更する事を発表している。

親会社であるCMS Energy社がスマートメータの導入コストの回収の為の電力料金値上げをMichigan州に申請しているが、同州のPSCから激しい規制を受けており、Elster社とのスマートメータの実証試験や、General Electric社とのWIMAXベースのAMI導入コストプロジェクト等も実施が危ぶまれている状況である。


California州

かれこれ一年以上も議論されてきた、Pacific Gas & Electric(PG&E)社のスマートグリッドの実証試験が民事訴訟までにエスカレートした問題は、PG&E社のカスタマーサービスの不備に大きな問題があり、スマートメータ自体は正常に機能している、という結論が下された。

事の発端は、Bakersfield市に導入されたスマートメータ。導入とともに同市内の家庭で電力料金が高騰した、という報告が多発し、PG&Eに対する訴訟にまで発展する、という自体になった。この状況を受け、PG&Eが電力を供給し、スマートメータを導入した他の地域、San Francisco、Marin County等でも同様な動きが発生し始めてきた。

事件の調査の依頼を受けた第3者機関である、Structure Group社のStacey Wood氏によると、調査の結果、導入された1378台、全てのスマートメータにおいて、不具合は見出されす、正確な電力消費情報を記録している、と報告している。

つまり、電力料金の高騰は、他に要因がある、という事である。

要員の一つとして挙げているのは、この夏の異常な暑さにある、と報告している。さらにもう一つの要因としているのは、過去のメータの内約5%は、正常に機能しておらず、実は本来より少ない電力消費を記録していた、としている。  

もう一つは、極わずかに新規電気料金の徴収にて誤りがあった事、さらに低所得者に対する割引システムにも誤りがあった事も指摘している。しかしStructure Groupが指摘しているのはその間違いではなく、顧客からのクレームを迅速に、そして正しく処理できなかった顧客サポート体制にある、という問題である。顧客に対する、スマートメータに関する紹介、そして導入によって何が変わるのか、という事を殆ど行っていなかった上に、顧客サポート態勢にも教育が行き届いていなかったのが現状のようである。

同じカリフォルニア州において、San Diego Gas & Electric社やSouthern California Edison社が同様なタイミングでスマートメータを導入しているが、こちらのプロジェクトは殆ど問題が発生していない、という事もあり、PG&E社の問題が大きく注目される結果に至っている。

今後衆議会は、Bakersfield市の民事訴訟をどのように扱うのか、さらに今後ほかの地域に導入が予定されているスマートメータを継続させるのかどうか、継続的に審議する事になっている。また、カリフォルニア州のこの一連の経緯は、同様な問題が発生しているてテキサス州等においても大きな関心の的になっており、カリフォルニア州だけに閉じる話ではなさそうである。

もう一つは、懸念としてあげられているのは、スマートメータが発生する強い磁場による健康被害の懸念である。Fairfax市などは、このような健康被害を懸念してスマートメータの実装計画を却下している、という状況である。


Hawaii州

他州に引き続き、Hawaii州のPUCもスマートメータの導入プロジェクトを差止めた、という情報が明らかになっている。Hawaii州の電力会社である、Hawaiian Electric Co.社が$1.15億ドルの予算を投じてスマートグリッドプロジェクトを計画していたが、コンシューマの電気料金の値上げに直結しないスマートメータ導入プランの提出をPUCに要求されている。

ここにおいても、コンシューマに対するスマートグリッドのメリットが明確に説明されているい、という事が問題視されている。


Maryland州、Baltimore市

Baltimore Gas & Electric社は、Mariland州のPSCに対して既に数回のスマートグリッド導入計画書の再提出を要求されている。 ここでも問題になっているのは、スマートメータの導入計画のコスト回収にコンシューマに対する料金をの段階的な値上げを計画している、という点である。

もう一つはBaltimore市が注目される要因がある。BG&Eはエネルギー省からのスマートグリッド導入助成金の満額である、$2億ドルを受け取っているため、プロジェクトの規模が他の州と比較して大きい、という点である。  もし、PCSに対する申請が却下される事にでもなれば、この$2億ドルの大金を政府に対して返却する必要がある。  

最近の動きでは、BG&Eの最新の申請書がPCSに受領され、スマートメータの導入プロジェクトがスタートできるところまできているが、電力料金の値上げについては、プロジェクトコストの総額、$8.35億ドルの25%以内、という制限がつけられている。

PSCの主張は、スマートメータの導入自体がコンシューマの節電に直結する、という説明がなされていない、という事である。実質的には、スマートメータを統合するエネルギー管理システムの導入も必要である、と指摘しており、その導入、実装も含めたBG&Eの計画案提出を要求している様である。

BG&Eの主張によると、このプロジェクトでコンシューマは$250億ドルの電力料金節約が実現できる、と述べているが、具体的にどのようなスケジュールや手法でそれが実現されるのか、あまり説明されていない事も指摘されている。


Texas州

Dallas市を中心としてOncor社が実施したスマートメータ導入プロジェクトは、カリフォルニア州PG&E社と同様に、民事訴訟に発展している。嫌疑は導入されたスマートメータが正常に作動せず、不当に高額な電力料金の請求につながっている、という内容。

訴訟内容は、その内容がかなり赤裸々である事もあって、全文がインターネット上に掲載され、物議を醸していた。下記がその文面の一部である。

While there may be certain potential benefits to the Smart Meters, ONCOR is not advertising that customers with smart meters will ultimately be charged different rates depending on when energy is consumed.

スマートメータにはそれなりのメリットがあるだろう、という書き出しに続き、Oncor社がコンシューマに対して電力料金の変更について教育をちゃんと行っていない事が問題である、と指摘している。

スマートメータを導入すれば即座に電気料金を自動的に節約できるのではなく、コンシューマが電気の使い方を変える、という努力も必要であり、それを正しくコンシューマに伝える事が重要である、という指摘である。

Baltimore市の状況を見ていると、スマートグリッド導入によって関する問題は、決して技術的な問題ではなく、マーケティング、教育の問題である、という事がよくわかる。  


Virginia州

同州の電力会社、Dominion Virginia Power社は、$6億ドルの予算を投じて、240万台のスマートメータの導入を計画している。 この大掛かりな導入計画の前に、現在既に55,000台のスマートメータの導入テストを州内2箇所で行っている。

州内のState Corporation Commission(SCC)は、この導入テストにおいて、12のDemand Responseプログラムを導入し、そのコストの回収を料金引き上げで回収しよう、という提案に対して反対の意見を述べている。 今後の議論が注目される。

SCCの意見によると、納税者に提供される価値に対して、要求されるコストの増大が大きすぎる、と指摘してる。これに対して、Dominion社は、スマートメータ導入によるコンシューマに対して負担は順次下げて行きたい、という方針を述べている。

まとめ

各州の電力料金は、州内の管理組織によって常に監視され、妥当な範囲に収まるように法律状況を、うまく組織が動いている。今回のスマートメータ導入による各州の問題は、コンシューマに対して導入のメリットが説明されないまま、料金値上げに踏み切ろうとする電力会社の姿勢を問われている、という点で共通している。そもそもスマートグリッドの導入プロジェクトの多くは政府、エネルギー省からの助成金がきっかけになっているケースが多いが、この助成金と同等の金額を電力会社が自己負担する、という条件が伴っている事はあまり論じられていない。電力会社が負担する必要のある半分の予算の捻出方法は、殆どの電力会社は料金の値上げに依存している、という状況が露見した形になっている。

最終的にはコンシューマが電力消費を上手に節約し、電力料金が値上げになっても最終的には電力事業者に支払う電機料金が削減出来ればいいのだが、現時点においては電力料金が値上げの動きだけが先行し、コンシューマに対する教育、アドバイスの提供、等のサービスに殆ど手が回っていない、という状況の各州の状況の様である。

スマートメータ導入に関しては必ずしも失敗ばかりではない、という事も言明する必要がある。例えば、Florida州、カナダOntario州、等、スマートメータの導入にある一定の成功を見ているケースもあり、こちらのケースについても調査し、分析を行うことが有効である、と感じる。ただ、成功事例は、あまりニュースとして登場してこない、というのが大変残念な話である。

[#Cloud #クラウド] SAPがAWSにアプリケーションを移植し、サービスを提供開始

September 25, 2010
SAPとAWS(Amazon Web Services)との接点が生まれる、とは誰が想像できたであろうか?

と言うと、少し言い過ぎだと思うが、自社クラウドインフラでSaaS事業を展開しているSAPがわざわざAWSのインフラを採用してまで展開するサービス事業というものはなんであろうか?

SAPの発表によると、自社のCarbon Impact OnDemand と呼ばれるアプリケーションの新規バージョン5.0を、AWSプラットホーム上で提供を開始する、と述べている。

このCarbon Impact OnDemandというソフトウエアサービス、企業の電力消費量を計測し、CO2排出削減に寄与する機能を持っている。 

SAPのVishal Sikka氏によると、今回のSAPプロダクトをAWS上で提供する事によって、
“That gives us a tremendous benefit of low-cost elastic performance and scalability,” 
「低価格でスケーラブル、尚且つ拡張性の高いAWSの特長をうまく活用できる事が我々にとっての大きなメリットである。」と述べている。

SAPは、OnDemandというキーワードの元でいくつかのアプリケーションサービスをすでに提供している。そのアプリケーション群の中で、Carbon Impact OnDemandは、企業の中でCO2排出に関係する様々なデータを収集し、Environmental Protection Agency(EPA)が規定している基準に準拠するためのレポートを作成する機能が提供される。

元々、SAP社が2009年に買収したClear Standards社の技術がベースとなっており、現在Autodesk社、Fisker Automotive社等がユーザである、と発表されている。

製品の機能はさておいて、むしろSAPが自社アプリケーションサービスをAWS上で提供する、
という事が非常に興味深い動きである、と言える。既に、Oracle、IBM、等の大手ITベンダーもAWSのサービスを再販している現状であるが、自社でもSaaSインフラを持っていて、尚且つMission Criticalアプリケーションサービスを提供できるクラウド事業者、という位置づけをAWSとの差別化要因にもしていたSAPが、敢えてAWSを利用する事、そしてその理由を”低価格で拡張性が高く、スケーラブルである” という理由で採用する、という事は、AWSのエンタプライズ市場での位置づけがかなり明確になってきていて、業界がそれを認識している、という事を示しているのでは無いか、と考えられる。

今までのAWSの持っていた、Web2.0 only、SMB Only、というイメージが急激に変わるタイミングが迫ってきているような、そんな印象を受ける記事である。

[#SmartGrid #スマートグリッド] スマートメータからグリッド管理に投資が移行: スマートグリッドをシステムとして見る時代の到来

September 25, 2010

スマートメータの導入が資金の流入先であった今までのスマートグリッドの市場。 最近になってこの傾向が変わり、電力配信システムやサブステーション関連のプロジェクトへの投資の比重が高くなる傾向にある、という報告がでている。

今週の木曜日に発行された、エネルギー省(the Department of Energy)が発行した、Cleantech Group レポート(pdf)にその内容が記載されている。 

このレポートによると、2010年のスマートグリッドに関する製品購入の総額は約$27.5億ドル、ほぼ同額の量がスマートグリッドサービスに使われている、という内容である。 北米サイドで政府が公式に発表している、スマートグリッド全体にかかっている金額は約$50億ドル、という計算になる。

この内訳を製品技術毎に分類すると、次の様になる。
・  スマートメータリング(AMI含む)= $11億ドル
・  分散グリッド関連のシステム = $15億ドル
・  デマンドレスポンス =  $15万ドル
・  サービス収入 = $11億ドル

このレポートで顕著なのは、分散グリッドシステムにかかっている金額の大きさである。その大きな要因は、グリッドサイドのインフラに要する機器のコストがスマートメータにかかるコストと比較して格段に高額になる、という点である、と分析されている。

このレポートでは、スマートグリッドの市場におけるベンチャー企業の位置づけについても論じている。スマートグリッド業界のスタートアップに対するベンチャーキャピタルの投資の総額、$17億ドルは、主としてスマートメータ関連の製品技術、もしくはHEMS(ホームエネルギー管理)、BEMS(ビルエネルギー管理)の技術の開発に流れ、スマートグリッドビジネスのほんの一部にしか流用されていない、という事を述べている。

分散グリッドグリッド管理システムになると、その売上の大方は、業界におけるレガシーベンダー(ABB、Siemens、General Electric、等)に流れ込む事が予測されている。ただし、この市場に、新たなプレイヤーとして、Cisco、IBM、Google、Lockheed Martin、等が参入しつつある、とも述べている。

また、スマートグリッドの業界は、M&Aがかなり活発化していて、2007年には10件だったのが2009年には30件に増加している。今後さらに増加するもの、と予測されている。

デマンドレスポンス業界については、逆にあまり成長が見られていない、という内容の報告もある。 ここでいうデマンドレスポンスとは、ユーティリティ事業者の需要ピーク時の負荷を下げるために電力消費の激しいところの制御を行うための技術を指す。これらのベンダー、EnerNoc社、Comverge社、CPower社(最近Constellation Energy社に買収)等はサービスを提供する事によって収益をあげるが、あまり技術に対する投資は活発ではない、という傾向がある。 今後はHEMS等との連携で新規技術投資が少し増加する傾向になる、と予測している。

明らかにスマートグリッド業界がハードウェア中心、それもスマートメータを中心とした業界から、ネットワーク、ITを絡めたシステム化中心の市場に移行している姿が数字の上で見えてきている。 政府からの助成金が頭打ちになる中、今後レガシーベンダー(General Electric、ABB等)の活発な動きに加え、スマートグリッド新興企業(Cisco、Google、等)の積極的な参入が入り混じった非常にユニークな市場が展開される、と見られる。  ハードウェア・インフラ中心のレガシー市場と、ICTとインターネット技術を駆使する新興企業との間のしのぎあい、というイメージで捉える事もできるのでは、と考える。

[#DataCenter #データセンタ] HPのFlexible Data Centerコンセプトに学ぶ、コンテナデータセンタからモジュラーデータセンタ…

September 23, 2010

写真は、HPが顧客向けのモジュラーデータセンタの組み立てを行っているテキサス州、Houston市にあるPODbase Facililtyという場所。

一時期、大変話題になっていた、コンテナ型のデータセンタ、という話が最近になって、モジュラーデータセンタ、という言葉に置き換わっている。 

HPのKen Baker氏によると、最近のデータセンタのデザイン技術は、集約化と共にコンテナ、というISO規格の箱に押し込める事に限定するのではなく、広義の意味でのコンポーネント、つまりモジュラー化の動きが主流になっている、と述べている。 

HPのCritical Facilities Services部門のColin Coyle氏によると、「コンテナにデータセンタ機能を詰め込むことにかなり早い段階で限界を感じ始めていた。 」と述べている。 

HPはこういった限界を認識すると共に、Flexible Data Center構想を固め、7月にそのコンセプトを発表している。

下記が同社のFlexible Data Centerを紹介しているWhite Paperである。

「HP Flexible Data Center—A new approach to industrialized IT」

http://h20195.www2.hp.com/V2/GetPDF.aspx/4AA2-1533ENW.pdf

これと並行して、HPは先に発表しているコンテナ型のデータセンタ、Performance Optimized Datacenter (POD)の製品化も進めており、現在、4世代目のデザインを完成させている、との事。

HPが今後提供する上記のモジュラーデータセンタのデザインに下記の様な新機能を提供する事を表明している。

(1) 空冷方式の採用

従来のPODは水冷方式を採用しており、代わりに空冷方式を取り入れると、コンテナの外に暖められた空気を排出するだけで済むので、コンテナを密に重ねることが可能になる上に、コンテナの外をHot Aisleとして扱うことが出来る。

(2) 鉄骨枠のモジュールの採用

従来のISOコンテナでは、形が定型化しており、広い応用ができない、という問題があった。 鉄骨建築の技法を採用することにより、自由に形を変えることが出来ると共に、外側に違う素材を使用することができる。  例えば、政府向けの案件において、EMI(電磁波)を反射する素材や、防弾加工がされた壁を採用しているケース等が増えている。  

(3) 重量の問題

ISO標準のコンテナは、40フィートモデルでその重量に6万ポンド(約30トン)、というISO規格上の限界がある。  最近の集約化の技術をもって、この限界を超える荷重のコンテナが登場しており、ISO規格外の強化された躯体(鉄骨)に入れる必要が出てきている。 規格以上の荷重になると、運搬するトラックの搭載制限、運搬時に通る橋の荷重限界、等の問題が発生する。 

日本でもモジュラーデータセンタに関する消防法等の規制が緩やかになる、という報道があるが、北米では、必ずしもコンテナに限定されない、様々な形でのモジュラーデータセンタのコンセプト、製品化が進んでいるようである。 HPの推進するFlexible Data Centerのようなモデルになると、もう完全に既存のデータセンタを置き換えるモデルになるコンセプトになる。 既存の建築物の中にデータセンタを入れる発想と、コンテナデータセンタの発想との間の境界線が段々となくなっていく事も大いに考えさせられる。

http://feedproxy.google.com/~r/DataCenterKnowledge/~3/Y5d4Ja-S7GY/

[#Cloud #クラウド] Oracleがとうとうクラウド事業に本格参入することをOracle WorldでEllison氏が表明:プライベートクラウド…

September 21, 2010
一部では予想されていたが、Oracleがとうとうクラウドの戦略を明らかにし、クラウドビジネスへの参入を正式に表明した。

戦略の名前は、Exalogic Elastic Cloud と呼び、プライベートクラウド向けのハードウェア/ソフトウェアシステム製品。
30台のサーバ、それぞれ6台のコアCPUを搭載し、CPU同士をInfinibandで接続する、という構成。 OSはLinux、もしくはSolarisを選択でき、Oracle社が得意としているミドルウェアの製品ラインアップは充実している。 

Oracleの正式ページはここ
http://www.oracle.com/us/products/middleware/exalogic/index.html

発表の席上に於いてLarry Ellison氏は、“Exalogic is one big honkin' cloud" と述べている。
Exalogicはそれ自体が巨大なクラウドインフラである、という意訳になる。
以前、Ellison氏は、クラウドを否定する人間の一人として、かなり厳しい意見を述べていた人間であるが、ここに来て改めてクラウドの存在を認めるどころか、自社のクラウドのソリューションをハードウェア主体のシステム事業として位置づけた理由はどこにあるのか、業界ではいろいろと意見が飛び交っている。

Ellison氏は今までの自分の言動に対して、こう述べている。
"People use the term to mean very different things. I’ve actually been very frustrated and outspoken,"
“Too many existing technologies have been reborn and rebranded cloud computing,"
「クラウドコンピューティングの定義が各社によってあまりにも異なっていた事が問題であり、それに対する不満は述べてきた。 既存の技術を単に形を変えただけなのに、クラウド、と呼んでいるケースが多すぎる。」
相変わらず、今日のクラウドに対して持っている批判的なスタンスに対しては修正はしていない。

一方では、クラウドコンピューティングの”理想的な”事例は2つある、と述べている。

一つは、Amazon Web ServiceのEC2。  これはオンデマンドで仮想化されたマシンインフラの上をアプリケーションが自由に利用出来る、という点において、クラウドコンピューティング、という言葉を定義した、という点で貢献している、のEllison氏は述べている。

Oracleの提供するクラウドソリューションは、AWSと同じコンセプトの基づく、「クラウドコンピューティング=プラットホーム」である、と主張している。  OracleのクラウドソリューションがAWSが唯一異なる点は、すべてファイアウォールの後ろで稼働する、という点である、と述べている。

一方では、Salesforce.comの提供するソリューションについては、「On-Demand CRMソリューションではあるが、単にインターネット上に一つもしくは2つのアプリケーションを動かしているに留まっている」、と述べている。 

Exalogicは、広い範囲のアプリケーションをサポートし、特に自社のSiebel、E-Business Suite、そして新しく発表した、Fusionをサポートする、と発表している。

Exalogicは、元々は2008年に発表した、Exadataと呼ばれるデータベースマシンをベースとしており、それに買収したSun Microsystems社のソフトウェア技術を統合したもの、と説明されている。

興味深いのは、先日までHPのCEOを努め、スキャンダル事件で首になった後、Oracle社に採用されたMark Hurd氏がこのExalogicの事業責任者になる、ということである。  HPとOracleの間の競合関係は、このクラウド事業を起点にさらに激化するもの、と想像される。 

プライベートクラウドがすなわち、Oracleのクラウドである、という事がここではっきりした、といえる。
以前からプライベートクラウドが本当のクラウドなのか、という疑問を投げかける議論が多く登場しているが、ここでOracleが進めるクラウド事業は、AWSの進めるクラウドと大きく違う点がある。
1) 特定のハードウェアを顧客が購入することが前提になっている。
2) IaaSレイヤーの上のミドルウェアもOracle固有のソフトウェア、という限定がある。
3) 企業として利用出来るのは、Exalogicと呼ばれるハードウェアが一つの単位。  これ以下の小さなインスタンス直接は導入できない。

NISTでも定義されている、パブリッククラウドの元々の価値は、早く、安くコンピューティングリソースを導入することが出来る、という点である。  Oracleの提供するクラウドソリューションはそのいづれも提供する事を目的としていない、という点は認識する必要がある。  一方では、パブリッククラウドの問題点である、セキュリティ、プライバシー、SLAが不十分である、という点は、Oracleが自社のエンタプライズ向け事業でのノウハウをフルに活かし、Exalogicでは解消される、と期待すべきである。  パブリックとプライベートのクラウド事業、名前は似ているが、段々と異なるビジネスモデル、顧客ターゲット層を狙う別々のビジネスになっていく事が、今回の発表でいよいよ明確になった、といえる。 

パブリッククラウドサイドの方から見て、今回発表されたOracleのクラウド戦略は、「クラウドではない」、と評価する様な内容の記事が今後多く登場してくるものと想定される。  ただ、こういった、高セキュリティ、高SLAのシステムのニーズは今後も成長していくのは明らかであり、批判とは裏腹に市場としては伸びていくもの、と考えられる。 

[#Cloud #クラウド] Amazon Micro Instances: 小さな単位のCPUリソースを提供、かなり戦略的な価格で登場

September 20, 2010
Picture Credit: Allthingsdistributed.com
先日発表されている、Amazon Web Servicesの新しいサービスモデル、Micro Instances、実は、Rackspace Hosting社が自社のVPS(Virtual Private Server)クラウドサービスとして以前から提供していた事は意外と知られていない。  Rackspace Hosting の提供しているVPSサービスは、わずか256MBのRAMを搭載したLinux Cloud Serverを採用し、一時間あたり1.5セント(月額で約$10.95程度)の価格で提供している。

Amazon Web Services の提供するサービスは、明らかにRackspace Hosting社のサービスへの対向を狙ったもの、と言える。  

そもそも、Micro Instancesは、クラウド上で提供されるCPUインスタンスを非常に小さな単位で提供し、ニーズの上昇と共に小さな単位でバースティングするモデルを指す。主として、
次のような負荷の低いWebサーバのニーズに対応するサービスに利用される。

  • DNSサーバの、ロードバランサー、プロキシーサーバ、等、トラフィック量が低いサーバ
  • データアップデート、システム監視、等のcronの様なジョブスケジューラが稼動するサーバ
  • トレーニング等、教育用のサーバ
こんな様なシステムコンポーネントまでも簡単にクラウド化できる時代になっているのである。

AWSの提供するMicro Instancesは、613MBのメモリを搭載し、EBSストレージのみを提供する。Linuxに加え、Windowsを32ビット、64ビットの両環境で提供され、さらにCloudWatchというシステム監視サービスも提供され、負荷状況の把握ができる様になっている。価格体系は、On Demand(通上の価格)に加え、Reserved Instances(長期契約)、Spot Instances(オークション)も提供される。

価格は、Linuxが一時間あたり2セント、Windowsが一時間あたり3セント、と非常に安い。また、Linux版のReserved Instanceの価格帯は、さらに安く、年間契約の場合は 0.7セント/時間、とRackspaceを下回る、異常なまでの安さである。

価格戦略では相変わらず積極的な動きを見せるAmazonであるが、今回のように単なる値下げ戦略を取るのではなく、必ずターゲットがあった上での戦略である、という事を分析しながら今後のAmazonの戦略を見極める必要がある。  

日本市場にAWSが登場する日は近いが、いよいよ事業を開始し、競合各社の動きを見据えながら、最初に誰をターゲットにするのか、非常に興味深いところである。AWSに対向するサービスを提供するIaaSベンダーとしては、どの様な価格戦略で対向すべきか、検討する必要があるが、今までのAmazonの値下げ戦略(過去に10回ほど実施)を参考にする事ができる、
と言える。

[#Cloud #クラウド] IPOの可能性も示唆されているSilver Springs Networks社の幹部2名が会社を離れる

September 20, 2010
Silver Spring Networks社の幹部が2名が、同社を離れている、という事が明らかになっている。
Silver Springs Networks社は、IPOを計画していることで話題を集めているが、そのさなかでの退職は異例の事として話題になっている。 

退社したのは、下記の2名;

Judy Lin:  Chief Product Officer
同氏は、元はCiscoのEthernet Switching Groupから移ってきた人間で、当時はCiscoとSilver Springs社との間のライバル意識がかなり高まってきた最中の移動である。

John O'Farrell: Executive Vice President of Business Development
O'Farrell氏は2008年前半にSilver Springs社に移ってきた人間。  Silver Springs退社後は、Andreessen Horowitz(Venture Capital)に参加した、との事。

AMI技術を持っているベンダーが数多く登場し、Silver Springsはその先駆け的な存在で、$2.75億ドルの資金を調達しながら市場の大きなシェアを構築し、CiscoやGEの様な大きなプレイヤーの登場も促してきた要因を作っている。  いまではCiscoとの競合も非常に厳しくなってきており、先日はItron社との戦略的提携、ArchRock社の買収等、動きが激しくなってきている。 

http://feedproxy.google.com/~r/greentechgridtech/~3/u5d2Qp6olNU/

[#Cloud #クラウド] AWSの値下げ攻勢:10回目に達し、改めてIaaS市場の激しさを分析

September 12, 2010
VMWorld開催中の期間を狙ったのかどうかは定かではないが、Amazon Wed Serviceがまた、自社のサービスの価格値下げを9/1に発表した。

今回は、High-Memory Double Extra Largeインスタンスと、High-Memory Quadruple Extra Largeインスタンスの2つのCPUサービスが対象で、19%の値下げを刊行している。

いづれも、大量のオンボードメモリを必要とするデータベースアプリケーションやmemcache等の用途で利用されるマシンイメージで、金融アプリ等、リアルタイム性の高いアプリケーションでの利用が促進される事が予測されている。

同社のブログで詳細が記述されている。
http://aws.typepad.com/aws/2010/09/amazon-ec2-price-reduction.html

この発表の中身の詳細はさて置いて、この値下げの発表はAmazonにとって、過去一年半の間で10回目に当たる、という点に注目したい。

下記がとあるサイトが調査した、値下げに関わる発表の内容を整理したもの。

AWS Price Announcments

  • Reserve Instances: リザーブインスタンスの登場(CPUリソースをまとめ買いした時の割引制度)
  • Lowered Reserve Instance Pricing: リザーブインスタンスの値下げ
  • Lowered EC2 Pricing: EC2の価格帯を値下げ
  • Lowered S3 and EU Windows Pricing:  S3と、EU Windowsサービスの価格値下げ
  • Spot Instances:  スポットインスタンスの登場 (余剰CPUリソースをオークション形式で販売する制度)
  • Lowered Data Transfer Pricing:  データ転送価格の値下げ
  • Combined Bandwidth Pricing:  EC2, S3, RDS, SQSで使用する通信費を全部一括支払い
  • Lowered CloudFront Pricing:  CDNサービスの値下げ
  • Free Tier and Increased SQS Limits:  SQSの価格体系変更
  • Lowered High Memory Instance Pricing: 今回の値下げ発表

値下げを行うサービスの種類、そしてその値下げの程度は、本業であるe-Retailing事業から引き継がれているDNAが大きく寄与している、と考えられる。当然ながら、その値下げの戦略は、ユーザ獲得を目的としているが、その上に特定の強豪相手をターゲットにしたビジネス戦略が織り込まれている、と考えるべきである。  また、値下げをする程度を見極めるためには、自社内のコストと売上の性格な把握、さらに短期、長期の売上予測がかなり内部で正確に、さらにシステマティックに行われている、と予測するべきである。 

追随するクラウドプラットホームベンダーとしては、AWSと競合する/しないは別として、この辺のノウハウの構築、「サービス事業+ユーティリティコンピューティング事業」という点から今後のビジネスモデルとし整備していく必要のある機能ではないか、と強く感じるところである。

市場のニーズに押されてクラウドサービスを始めたはいいけど、どうも事業収益に繋がるのかどうか、よく見えない、という不安をもったままReactiveに市場参入するのはできることなら避けたいところではある。 

上記の記事を掲載したサイトは、さらにAmazon Web Serviceの発表している、技術的な機能拡張に関するアナウンスも統計をとっており、次の表にまとめている。

aws-feature-releases-by-year

見ての通り、価格戦略だけではなく、機能の拡張についてもかなり積極的に行っている、という事が見える。  市場のリーダー格の地位を維持するためにはこの面での努力も非常に重要視している、という事がわかる。   この点に於いても、IaaSベンダーとしては重要視すべきで、クラウドプラットホーム事業は常にイノベートし続けるビジネスモデルであること、さらに他社が実施していない、ニッチな市場セグメントを常に開拓し続ける必要がある、という事を認識するべきであると思われる。 

IaaSをユーティリティコンピューティングと呼ぶことが多いが、「ユーティリティ」という言葉がもつ、ゆったりと構えたイメージとは裏腹に、上記のような激しい攻略が展開されている厳しい競争の市場である、という事を改めて認識する記事である。

http://feedproxy.google.com/~r/neoTactics/~3/waLuvzP56GI/aws-price-reduction