[#Cloud #クラウド] モバイルとクラウドが2015年までにIT市場を独占: 最も大きな課題は稼動率にあり、と断言される理由

October 25, 2010
IBMは、Tech Trends Surveyと呼ばれる、同社のIBM developersWorksというグループが行った87ヶ国、2000人を対象としたオンラインサーベイを行っている。目的は、IT市場の今後の動向を見極めるための調査、と位置付けられている。 

IBM Survey: IT Professionals Predict Mobile and Cloud Technologies Will Dominate Enterprise Computing By 2015

調査によると、回答したIT プロフェッショナルの半数以上、55%が、iPhoneやAndroidをはじめ、iPadやPlaybookといったタブレットデバイスといったモバイルソフトウェアプラットホームが従来のアプリケーション開発の規模を超える、と予測している、という結果が明らかになった。

これは、アプリケーション開発環境が、Agileで、競合の激しい市場に変化する、という事も予測されている。上記の表によると、”Not Sure(よく分からない)”と回答しているのがわずか18%であり、そういう面でもかなりモバイルソフトウェア開発環境が広がっていく、という認識が確かなものである、という事が伺える。

モバイル環境の開発環境の大きな特徴は、常にサービスと接続出来るインフラを維持する事にある。 

Foursquare、と呼ばれるソーシャルネットワークサービスが、先週の月曜日に不明の技術的な問題により11時間の間停止していた、という事が報道されている。 また、最大手のFacebookでさえも2.5時間の停止、という過去4年間で最も長い障害を経験している。

これらの障害は、モバイルアプリケーションにとっては従来のPCベースのネットワークモデルと比較しても深刻な問題として捉えられる。 モバイルデバイスは常に接続している事がベースとなっているので、アプリケーションとしては、こういった障害時の対策をどの様にとるか、によって大きく差がでてくる、という予測が出来る。

不安定なネットワークインフラであるだけに、障害時の対策を考慮したアプリケーション開発戦略を練る事が重要になってくる、という事である。

調査レポートのサイトであるはここ

[#SmartGrid #スマートグリッド] クリーンテックに関するアメリカ政府からの助成金が滞ている状況を指摘する記事が多い。

October 17, 2010
DoEの進めている、Cleantech向けのStimulus Bill(総額 $310億ドルに及ぶ、クリーンテクノロジー向けの予算)が議会で承認され、法政化されたのが18か月前の事である。

この予算の状況を報告しているのが、政府が運用している Obama Administration Recovery ActのWebサイトである、recovery.govというアドレスである。

このサイトの情報によると、現時点において、上記の予算の内、たった 23% しか実際に支払われていない、という事である。 つまり、DoEに認可され、助成金の行き先まで決まっている大量の資金が実際にその行き先に支払われずにUS Treasuryの口座に眠っている、という事である。さらにDoEの報告によると、今のペースで推移すると、この予算を消化するのにさらに6年の歳月が必要になるだろう、とされている。 過去12ヶ月の間に、DoEは$140億ドルの助成金が認可されているが、その内の10%しか実際に支払われていない、という事実である。  さらに、2009年度は、$120億ドルの助成金が730件の案件に認可されているが、一件もまだ支払われていない、という状況である。 これら未達案件の多くは、非常に工数の多い契約関連の作業が滞ている、という問題を抱えている、という事実が明らかになっている。 

上記の内のスマートグリッドにあてがわれていた、$40億ドルの助成金については、未だ8%しか実際に支払われていない、との事。 助成金の対象になったのは主として各地方の電力会社であるが、皮肉にも市場の経済を活性化することが目的であったこのRecovery Actは国の予算を集めることには非常に迅速に動くことが出来たようであるが、実際に市場への流入に関しては、あまり成功していない、というのが状況である。 

アメリカ政府の遅い手続き、契約関係の承認がどうも避難の対象になっているようである。 スマートグリッドの助成金は入札形式でその受取の対象となる企業が選ばれているが、対象となっている100社を選ぶところまでは非常に迅速に動いているが、その先、実際に各社助成金を受け取ることが出来る電力会社等に対して実際に資金をた渡すまでの工数が非常に長く掛かっているのが現状である。 

Recovery Actが進めたプロジェクトの中には、ある程度成功をみているものもある。  例えば、クリーンテック関連の斬新なスタートアップ事業に対して、エンジェル投資の形で資金を供与する、ARPA-E(Advanced Research Project Agency -Energy)というプログラムは、広くクリーンテックの新規事業を促進するのに役立っており、プログラムがスムーズに進んでいる状況である。  しかしながら、ARPA-Eの予算は、DoE全体予算のわずか1.3%しかなく、2011年度の予算も50%削減の予定である。  また、税金控除に直結するプログラムも基本的に好調のようである。  事例としては、Cash For Clunkersと呼ばれる、燃費の悪い年式の古い大型SUV・トラックを政府が買い上げ、税金の控除とするプログラムは大きな成功であったと言われるし、Energy Efficient Tax Creditsと呼ばれる、エネルギー効率向上の装置(ソーラーパネル、高燃費エアコン、等)を購入設置した際の税金控除の制度、等があるが、導入状況は好調である。

スマートグリッドのみならず、どうもアメリカ政府のエネルギー戦略に対する批判が少しずつ大きくなってきている様な気がする。  勿論、選挙の時期(11月)を迎えるとこういった話題が政党間の勢力争いの中でよく利用されるケースがあるが、スマートグリッド市場を見るに当たり、各州で行われている各種実証試験の進み具合が当初の目標と比較してあまり好調に進んでいないケースが目立ち始めているのは事実である。 

[#Cloud #クラウド] MicrosoftがAdobeを買収するかもしれない、という噂: その目的には共通の敵の存在

October 8, 2010
New York Times発、GigaOm経由で登場した記事であるが、Microsoft CEO の Steve Ballmer氏がAdobe CEO のShantanu Narayen氏と会い、秘かに合併の可能性について議論をした、との噂が業界での飛び交っている。

一体どういう事になったらこういう噂になるのかがなかなか理解できないが、両社はこのような話題があった事を否定している。 

ただ、噂の根源は、過去に同様の議論があった経緯がある事、その際には独占禁止法に抵触する恐れがあったために断念をした、という結果になった、という事である。

今回はその恐れがないのか、この噂が発信されてからというもの、Adobeの株価が11.5%、と急上昇している。 

両社は異なるビジネスモデルを進める会社同士ではあるが、競合する製品技術もいくつかある。 その代表は、MicrosoftのSilverlightとAdobeのFlashである。 また、AdobeのAcrobat・PDF仕様に対向する規格を計画している、という情報もある。  

ただそれよりも大きいのは、両社が共通に抱える敵、Apple社である。  
両社が行った会談の中心は、Appleに対してどの様に対向すべきか、という点だっただろう、という予測は多い。 Apple社がFlashを頑なに採用しない事、iOSがMicrosoftのWindows Phone OSの市場をドンドン攻め込んでいる、という状況は、両社にとって事業収益に大きく影響を及ぼす問題である。 

Appleの層資産額がMicrosoftを超えてしまった以上、もう過去の悩みであった独占禁止法にに触れるという悩みはなくなっている事は確か。

ちなみに、Microsoftの現在保有しているキャッシュは約$360億ドル。 一方、Adobeの現在のマーケットキャップは約 $150億ドルとされているため、決して安い買い物ではない、と言える。

Appleに対向するためにMicrosoftがAdobeを買収するかもしれない、という噂がでてくる事自体、数年前では全く想像もつかなかった事態であるが、インターネットの時代からクラウドの時代、PCの時代からスマートフォンの時代と、移行のスピードの早さには驚くばかりである。

[#Cloud #クラウド] 北米でのManaged Hosting Providersの株価が好調: クラウド事業のモデルが評価

October 6, 2010
北米でのManaged Hosting Providersの3Q/2010の株価が好調である。  

Managed Hosting Providersという業種は、主として企業のIT資産(ハードウェア、ネットワークも含む)を自社のデータセンターで管理し、IT全体の運用、管理をサービスとして提供するビジネスである。コロケーション事業と異なり、ネットワーク、さらにOS、仮想化レイヤー、基幹業務アプリケーションも含めた資産の管理運用を行う事がポイント。

MHP業界で最も株価の伸びを見せたのは、Savvis Communications社(SVVS)、Rackspace Hosting社(RAX)である。  両社共に3Qの期間で40%の株価の伸び、という驚くべき数字を出している。これを追って、Terremark Worldwide社(TRMK)の32%、Navisite社(NAVI)の27%、と総じて25%以上の伸びを見せている。

MHPという、ある意味では非常に地味なIT運用事業が何故ここまで投資家に人気があるのか? 

企業がIT資産のセキュリティやコンプライアンスに大きな関心を寄せる中、長年その2点に関する投資を行ってきたMHP事業社に対して、企業が改めて積極的なアウトソースを活発化させている、というのが現状のようである。 合わせて、クラウドコンピューティングサービスも同様のセキュリティレベルで提供できる、というビジネスモデルが大きく評価されている、と考えられる。 

最近の動きとして注目されるのは、CoreSite Realty社(COR)というデータセンター専門のREIT事業社がIPOした、という事である。 同業の公開企業である、Digital Realty Trust社(DLR)とDuPont Fabros(DFT)社と並んで、REIT事業社は3社目になる。 

下記が、Data Center Knowledge社がまとめた、3Q/2010の関連企業の株価動向である。

この時期のDow Jones の平均株価は8%上昇、NASDAQ市場は12%の上昇を見せているので、MHPベンダーは全体的にかなり顕著な伸びを示している、という事が言える。

各社の伸びを、2010の頭からの比較を示しているのが次の表である。 

CDNの大手、Akamai社を筆頭に、MHPベンダーは、50%以上の伸びを示しているので、MHP業界の成長は、3Q/2010に限らず、長期的な視野でも伸びを示しており、今後の成長も期待出来る、と考えられる。

日本では長年、SI事業社が企業向けのIT資産を構築、運用する文化が育ってきている。 特にに基幹業務になると、SI事業社が中心になって企業向けの上流コンサルティングを始め、システム構築、運用、等の業務を提供し、北米でのMHPにかなり近い内容のサービスを顧客に提供している、と解釈する事が出来る。 

MHPの大きなポイントは、データセンターを運用し、顧客のIT資産をそこで運用する事に特化したサービスを提供している事である。広大な土地のあるアメリカでアウトソース事業が育ち、逆に土地の非常に少ない日本(特に東京)ではオンサイトのIT資産運用が中心になっている、というのは、考えてもみれば非常に不思議な状況である。

その鍵は、MHPベンダーがかなり早い段階からセキュリティやコンプライアンスを意識した運用サービスを提供できるインフラを構築し、顧客企業に対してそのメリットを明確に示してきた、という事にある、と分析出来る。  要するに、経済的なメリットは当然ながらも、さらに顧客との間に信頼関係があるからこそ、アプリケーションも含めたIT資産のアウトソース出来る、という事ではないか、と考えられる。

このように顧客との信頼関係を非常に重要視するビジネスモデルが、クラウドコンピューティングビジネスを始める、というのは考えようによっては非常に魅力的なサービスになりうる。クラウドコンピューティングの問題とされている、プライバシー、セキュリティへの懸念がこういった信用関係をとおして払拭出来る可能性があるためである。  

現に、Rackspace Hosting社は、クラウドコンピューティング市場においてはAmazon Web Serviceと並ぶ規模に成長しており、明らかにAWSと異なる顧客層を確保している。 

このモデルは、セキュリティやプライバシーの確保を重視し、尚且つ顧客との信頼関係を重視する日本企業にとっては非常に参考になるビジネスモデルであり、日本ではクラウドコンピューティング事業を伸ばす大きな要因になる可能性が高い、と思うところである。 

[#Cloud #クラウド] VC業界が元気を取り戻す理由

October 5, 2010
最近のVC活動が活発になってきている、という話題。

要因は、M&AやIPOの案件が増えてきている、という事のようである。 NVCA(National Venture Capital Association)という呼ばれる団体の報告によると、104件のM&A、さらに14件ものIPOが2010年の3Qの間に起きた、との事で、今後もこの傾向は続く、と予測している。

たしかに、最近の案件では、3PARBlade Technologies等の買収など、戦略的な要素の高い案件が多く登場している。M&A案件が全部の内、金額を公開しているのは27社であるが、その合計は 約$38.4億ドル、さらに感心するのは、14件のIPOは合計 $12.5億ドル、一社平均 $8920万ドル、という金額である。  


下記がさらにこのレポートが報告している。内容である。

・  14件のIPOの内、IT業界での案件は8件であり、合計 $7.5億ドルになる。最大の案件は、GreenDot Corp. のIPOで、総額$1.64億ドルにのぼる。

・  M&A案件全104件の内、ITセクターの案件は82件、合計金額は $10億ドルにのぼる。

・  インターネット、コンピュータソフトウエアが一番比重が大きい技術を分野であり、各々32件、33件。

・  買収金額が公開されている27件のM&A案件の内、5件は元の投資額の10倍以上の買収額、4件が投資額の4倍、7件は投資額を下回る投資額となった。

2004〜2007年の頃のM&Aの勢いにはまだ達していないが、2008〜2009年の急激な落ち込みの頃と比べたらかなり回復している、という事ができる。

この傾向を押している要因として、昨今のクラウドコンピューティングの成長が大きく注目される。各社のクラウド戦略が激しくなる状況を中、大手IT企業、Oracle、Google、VMWare、HP、Dell等が競って買収厚生をかけている状況はよく見えてきている。逆にクラウド戦略をなんらかの形で持っていなければ買収の対象になり得ない、と思えるくらいである。

[#Cloud #クラウド] AWS初のクラウド事業投資、ストレージアプライアンス企業:Cirtas => その裏にある戦略とは

October 1, 2010
Cirtas社は、San Jose市に本社を置くストレージ事業者である。

今回発表した新製品は BlueJet Cloud Storage Controller と呼ばれる、エンタプライズ市場向けのクラウドストレージアプライアンス製品。  

もう一つ、同時に発表したのは、同社がNEA、Lightspeed Venture Partners、Amazonの3社から合計 $1000万ドルの投資を受けた、という事である。最も興味深いのはAmazonにとって、クラウドベンダーに投資した初めての案件である、という事。

さて、製品の方であるが、Bluejet Cloud Storage Controller はエンタプライズが現在抱えているパブリック、プライベート、ハイブリッドの3つのインフラの統合という問題を解決するためのストレージ製品として位置づけられており、競争の激しい市場にまた一社加わる事になる。 

Cirtas社の製品の最も大きな特長は、複数クラウドを常に監視し、データ転送速度、セキュリティ、許容量、等を比較した上で最適なクラウドストレージプラットホームを選択、データを動的に移動させる機能を自動化している。この最適化のために、製品はアプライアンス内部でクラウド間のデータを移動させるためのストレージアレイと、各クラウドの状況を監視するダッシュボードを装備している。 (下記の図はダッシュボードの画面)

cirtas

エンタプライズにおいては、ローカルストレージを運用管理するのと同じ様にクラウドストレージも使いたい、というニーズがある事に着目し、製品はデザインを行っている。 アプライアンスの内部構造的なとして、RAM、SSD、HDDストレージもアレイを多重化装備し、さらにクラウドと直接接続するためのゲートウェイ、さらにWAN最適化の機能をサポートしている。

下記が製品のアーキテクチャ図である。

cirtas

さて、もう一つの関心は、何故こんな会社にAmazonが投資をしたのか、という事である。 自社でVirtual Private Cloudサービスも提供、エンタプライズ向けのソリューションを強化している中、敢えてこういう会社に投資をする理由として次のような事が分析される。

1) VPCを適用するにしても、クラウドのストレージを管理する機能は社内のIT部門の管理下に置きたい。 そのため、何ら家の形でのアプリアンスが必要であり、Amazonとしてはそれを推奨するソリューションが必要になってきた。この辺の市場がどの様に成長するかはAmazonにとってまだ不確定な市場なので、買収ではなく、VCとの共同投資という範疇に留めている可能性あり。

2) 企業内のプライベートクラウド市場は、VMWare、Oracle、IBM等の大手ITベンダーがSIソリューションを主体として提供するビジネスモデルである。こういう市場に、Amazonが段々と入りにくくなってきている、という事を懸念している可能性が大きい。Cirtas社のようなアプライアンスという製品をもつハードウェアベンダーと組む事により、SIソリューションモデルの中にAmazonのサービスを、SIが導入しやすい形式で提供する事が必要だ、とAmazonが認識してる可能性あり。

3) SMB、Web2.0市場は、Amazon Web Servicesを大きく支えているが、今後の市場予測では、クラウドの市場はエンタプライズ系にドンドンとシフトすると共にSMB、Web2.0企業からの売上マージンが薄くなってくることが予測されている。Amazonとしては、従来の顧客層に依存したビジネスモデルを継続する事に大きな懸念を感じているのでは無いか、と予測できる。


市場を独占しているAmazonであっても、常に成長戦略を開拓し続けることが重要であり、じっとはしていられない、という状況である。

[#Cloud #クラウド] データセンター業界ではクラウドは必要ない、とされている意外な事実

October 1, 2010
AFCOMと呼ばれる、データセンターの業界団体が、2009/2010年のデータセンター傾向についての業界調査を行い、その内容を報告している。

このデータセンター業界におけるクラウドコンピューティングに対する意識調査を行ったところ、非常に興味深い結果がでている。

まずは、データを生のまま見てみたい。
下記が、データセンタで採用されている様々な新規技術と、それを実際に採用した、都'回答している比率をまとめたものである。
Cloud Computing 14.90%
Cluster Computing 50.00%
Virtual Processing 72.90%
Web Applications 70.40%
Automation 54.80%
クラウドコンピューティングを実際に採用している、と回答しているデータセンター事業者の数が、15%以下、とかなり他の技術と比較しても著しく低い状態にある、という事がが分かる。

一般の企業でクラウドコンピューティングの採用割合は伸びており、調査によって数字はまちまちであるが、ものによっては全企業の50%がクラウドコンピューティングを何らかの形で採用している、という統計もある。それと比較して、データセンターでは何故こんなにクラウドの採用状況が低いのか?

もう一つ、同じ調査で出ている結果をみたい。

これは、データセンタ各社が採用を考慮したが、最終的に断念した技術を列挙し、それぞれの割合を示している。
Cloud Computing 46.30%
Cluster Computing 11.70%
Virtual Processing 9.60%
Web Applications 4.80%
Automation 15.40%
非常に興味深いのは、クラウドコンピューティングがこの結果だと46%、と他の項目を大きくなる、引き離して大きい、という事である。

つまり、データセンター業者は、クラウドコンピューティングについては調査を行い、評価も行ったが、多くが最終的に採用しない、という結論に至っている、という現実である。

この状況を、どの様に分析すべきか? 筆者は次の点が要因なのではないか、と想像する。

(1) データセンター業界において、まだクラウドのビジネスモデルが確立していない、というのが要因である可能性が高い。 Amazon Web ServiceやGoogle、Microsoft、Rackspaceといった超大型のデータセンターを運用するクラウド事業者が市場の大部分を専有する状況の中、一般データセンターとしては今更スタートしてもビジネスとして成立しないのでは、という懸念を持っている、と想像できる。

(2) データセンターのクライアントである企業が、そもそもクラウドコンピューティングに実は慎重になっているのでは。 企業での採用はたしかに急速に伸びているが、それを伸ばしているのは企業の各事業部門であって、IT部門ではない、という点がある。IT部門は意外とクラウドに対して慎重に構えていて、それが結局データセンターに影響を及ぼしているのでは、と想定できる。

(3) 技術的に、クラウドを構築して運用するのに、かなり専門的な知識と、ノウハウが要求される、という事実がハードウェア・ファシリティ系のノウハウ中心のデータセンター業界では敬遠される理由になるのでは。データセンタの仮想化まではVMWare等大手のベンダーの技術を導入する事で実現できるが、その先、クラウドAPIの実装、各種自動化ツール、監視ツール、クラウド独自の障害検知・対策ツール、マルチテナントのインフラ、クラウド向けの課金システム、等ソフトウェアソリューションが非常に多く、どれも提供者が小さいベンダーが主体で、オープンソフト系も多い。データセンターとしては今までに無いノウハウを要求される事になり、リスクがどうしても高くなってしまう、というのがクラウド不採用の大きな原因になっている、と想像する。

[#SmartGrid #スマートグリッド] スマートグリッド管理システムの各州での状況分析: アメリカの本当の強さを発見

September 30, 2010
スマートグリッド関連の市場調査で各種のレポートを発行しているPike Research社によると、今後のスマートグリッド市場は、「スマートグリッド管理サービス」と呼ばれるカテゴリーが急激な成長を遂げる、と予測している。 具体的には、2010年から2011にかけて年成長率=75%、金額規模にして$4.7億ドルから$8.21億ドルへの成長である。この調子で成長を続けると、2015年までには$43億ドル規模になる、と見ている。
このスマートグリッド管理サービス、具体的に何かと言うと、スマートメータ、AMIインフラの導入に伴って、いよいよこれらのメータから収集する大量のデータを分析し、コンシューマの立場から見て付加価値の高いサービス(オフピークの価格割引、障害の早期検知・対策、電力消費の節約ソリューション、等)を提供するためのシステム全体を指す。

スマートグリッド管理サービスの中でもっとも伸び率が高いのは、デマンドレスポンス(DR)を含むアプリケーションアウトソース事業である、としている。 これが2015年までには、電力インフラのアウトソース事業、さらにビジネスプロセスのアウトソース事業が大きく伸びる可能性が高い、としている。

北米各州において、スマートグリッドの実証試験が展開され、現時点では一通りメータの実装が完了しているところが多い。  しかし現状では、メータを導入しても、電力会社サイドの情報管理インフラが整備されていないため、メータの本来の性能を活かしたデマンドレスポンスや障害検知・対策システムを展開しているところは殆ど無いのが現状。 下記の通り、各州での現時点での取り組みを簡単にまとめる。

Maryland州、Baltimore市
Constellation Energy社の子会社であるBaltimore Gas & Electric(BGE)社は、Accenture社とOracle社と組んで、自社の抱える1200万人のユーザに対するスマートメータネットワークの構築を行う事を発表している。 主たる機能は、次の通り。

・  電力需要ピーク時の消費削減
・  顧客サービスの向上
・  操業の効率向上

この管理システムの導入によって、BGE社はMaryland州の消費電力を15%削減する事ができる、と期待している。  

Accenture社は、システム全体の設計、構築、そして管理を行う事を役割を担い、次のシステム開発を計画している。
・  顧客Webポータルシステム
・  メータデータ管理システム(Meter Data Management System:MDM)
・  スマートメータネットワーク(Advanced Meter Infrastructure:AMI)
・  BGE社の従来運用していた顧客管理、課金、障害管理等のシステムの統合

MDMには、Oracle社の技術的が採用される事になっており、各家庭に設置されているメータから発生する大量のデータの管理と分析を効率良く行い、顧客に対して詳細な電力消費情報の提供やそれに伴う電力消費ピーク時の平準化を実現する計画。  また、障害時の様々な対策をリアルタイムで効率良く行う事を目的にOracleのUtilities Network Managementシステムの導入を計画している。

これらのIT技術の導入により、BGEは北米で初めて、「Smart Energy Pricing」と呼ばれる、ピーク時の電力消費を率先して削減したユーザに対して、リベート(料金の割引)を提供するしかけを導入する事を計画している。 既に、2008年と2009年にはAccenture社のサポートを通して2回のパイロットプロジェクトを実施しており、ピーク時に22〜37%の電力消費削減を実現している。これが本格的に実現出来る様になると、今後計画されている需要増化に伴う発電所の建設コストを大幅に削減できる、と期待している。

Hawaii州
ハワイ州は、SAPと組み、州内の40万人を対象にクリーンエネルギー化を目指した施策を展開する方針を取っている。SAPに委託しているのは、次のプロジェクト。
・  顧客管理システム
・  コールセンタ
・  課金システム
・  メータデータ管理システム(MDM)

ハワイ州は、HCEI(Hawaii Clean Energy社Initiative)と呼ばれる州内の関連する省庁内で契約関係を結び、Division of Consumer AdvocacyとHawaiian Electric Companyが推進母体となってハワイを全国に先駆けて、2030年までに代替エネルギーで州内の電力消費の40%を供給する計画を進めている。

従来のインフラにおいて、Hawaiian Electric社は顧客に対してより詳細な電力消費状況を伝えるためのニーズに直面しており、SAPの開発した、SAP® Customer Relationship Management and Billing for Utilitiesと呼ばれるソリューションを導入する事により、顧客に対する統合的な顧客サービスを提供できる様になる、との事。


Colorado州、Colorado Springs市

Open Systems International, Inc. (OSI)社が、Colorado Springs Utilities社から自社のガス、水道、電気供給システムに対する新しいエネルギー管理システムの導入の委託を受けた。

Colorado Springs Utilities社は、Colorado州のPikes Peak地域に住む65万人を対象としたガス、水道、電気の供給している。管理システムの改善にOSI Systems社を選んだのは同社の高い信頼性と実績を評価している、と述べている。

OSI Systems社は、同社のmonarch™ (Multi-platform Open Network ARCHitecture)と呼ばれるプラットホーム製品で、次の様な機能を提供する。
・  次世代Microsoft .NET ベースの GUI
・  SCADA 機能
・  リアルタイムと履歴情報に基づいた電力消費分析
・  DNP, Modbus, Vancommプロトコルをサポートする通信フロントエンドプロセッサ
・  履歴情報のデータ管理、アーカイブシステム
・  負荷管理、負荷分散機能
・  電力供給管理の自動化
・  Unit Commitment/Transaction Evaluation
・  短期的な電力需要の予測
・  ネットワークのセキュリティ分析
・  OLTPインフラ
・  電圧制御

Florida州、Orlando市

Orlando Utilities Commission(OUC)は、Siemens社のeMeter EnergyIPと呼ばれるMeter Data Managementシステム(MDM)を採用する事を発表している。 このSiemens社の技術を採用し、31.3万人世帯の電力供給に対するサービス向上を目指す。

Siemens社に期待されているのは、MDMに関する製品技術を持っているベンダーとしての技術力のみならず、OUCの保有する2種類の顧客管理システムやバックオフィスシステムを統合する事ができるMDMシステムの優れた技術力とプロジェクト管理能力である、とOUCのDirector of Applications Systems, Dan Holverson氏が述べている。

OUCは、このシステムの導入によりよって、次の様な改善を提供する事を計画している。

・  各家庭に対する課金の制度の向上

・  顧客サービスのスピード向上

・  メータの読み取り速度と精度の向上

・   リモートでのメータの読み取り機能

・  停電時の対策の効率向上


Kansas州、Lawrence市
同市の電力会社、Westar Energy社は、Elstar社の技術を採用し、同市内の4.8万台のスマートメータ導入、及び管理を実施することを発表している。

Elster社の提供する製品は EnergyAxis Smart Grid Solutionと呼び、次の様な機能を提供する事ができる計画されている。

・  リアルタイムの電力グリッドの監視
・  コンシューマに対して、日頃の電力消費状況をモニターできるためのサービス
・  サービス全体を信頼性の向上
・  電力障害時の対策のスピード向上

Westar社は、他数社のスマートグリッドソリューションを提供するベンダーとの間の評価の中から選ばれている。 このLawrence市のスマートグリッドプロジェクトは、アメリカ政府、エネルギー省(DoE)から$1900万ドルの助成金を受け取っており、この助成金を受け取るための政府に対する詳細な申請書類、特に技術情報や、セキュリティに関する関係書類等の作成にもWestar社は大きく伸びる寄与している、と報告されている。 


Atlanta州、Georgia市

Atlanta南西地域での最大の共同電力会社である、Cobb Electric Membership Corp.(Cobb EMC)社は、自社の顧客である、20万世帯に対するスマートグリッドソリューションの実装にSensus社の技術を採用した。 Sensus社は、自社開発のスマートメータと、Sensus Flexnet Advanced Metering Technologyと呼ばれる管理システムを導入する事により計画。

Cobb EMCがSensus社の技術を選択する決断をした最大の理由は、下記の理由による、と発表されている。

・  FCCライセンスが必要な周波数帯域を使った通信インフラを採用しているため、混線の無い信頼性が高いネットワークが保障できる。

・  従来のユーティリティシステムとの統合が容易で、分散自動化、負荷分散、従量課金、顧客向けのエネルギー消費監視システム等の統合的な構築が可能。

もう一つのメリットとして、Cobb EMC社のCOO、Chip Nelson氏が次のことを述べている。

“We will now be able to automate meter reads, removing an anticipated 30 trucks off the road, and leverage greater intelligence for applications such as proactive detection of outages.”

このシステムの導入で、メータの読み取りが自動化され、従来の利用していたトラックを30台削減する事ができると共に、電力障害時の検知がより高精度で行うことができる。

Cobb EMC社は、顧客に対する十分な情報伝達に特に心がけている模様である。 自社のWebサイトでの情報提供に加え、スマートメータの設置と同時に各家庭に対して、新しいメータの機能やメリットを説明するレターを届け、電話でフォローアップする、という徹底振りである。特に2011に計画している、価格変動システムの導入で向けて、各家庭内における電力消費の上手な節約方法について、教育していく予定である。 


Missouri州、Kansas City市

Landis+Gyr社は、Kansas City Power & Light (KCP&L)社のスマートグリッドデモプロジェクトに対して、メータ管理、グリッド自動化のシステムである、Gridstreamソリューションを提供することを発表している。

このプロジェクト、特に、各家庭向けにプログラミングができるサーモスタット、家庭内に設置するモニター装置、ホームエリアネットワーク(HAN)等の実装を行う事にに力を入れている点が特徴。さらに、KCP&L社のスマートグリッドプロジェクトは、ソーラーパネルの設置、EVの充電ステーション設置、蓄電池装置の設置などにも積極的に取り組む。

まずは、今年の10月から、Landis+Gyr社とKCP&L社は、Gridstream RF スマートグリッド技術をを実装開始し、スマートメータと電力会社のネットワーク間の双方向通信インフラを実装する。対象地域は、”Green Impact Zone” と呼ばれる、Kansas Cityのミッドタウン地域の都市部とする事を計画している。 



まとめ

各州におけるスマートグリッドの導入による技術やアプリケーションは、大体似た様なものがある、という事がよくわかる。  主体となっているアプリケーションも、現時点においては電力会社の運用コストやリスクを下げるための施策が多く、あまりコンシューマに対するメリットとしてクリアになっているものが多くないが、今後増えていく、という期待が大きい事も各社の状況を見て強く感じる所である。 

いづれにしても電力会社が、従来もっていたITシステムの統合も含めて、外部のベンダーにアウトソースする、というパターンはスマートグリッドの導入においてはかなり多くなる、と予測できる。 当然ながら、GE、Siemens、等の電力ソリューションの大手ももちろん、Oracle、IBM等の大手IT企業、Google、Microsoft等の大手インターネットベンダーの活発な提案活動が増える、と想定できる。

日本の電力事情も、インフラをより強化するためのIT導入はむしろ北米の電力会社より進んでいる、という面がある事から、あまり北米の様な動きはない可能性があるが、一旦、家庭内のHANとの接続、それに伴う、家庭内のITソリューション、特にコンシューマに対して明確なメリットになるITソリューションを(生活レベルを大幅に変える事なく電力消費を節約するソリューション、太陽パネル・蓄電池・EVの導入に伴う新しい電力の利用方法、等)提供する事に対しては、日本はかなり出遅れている、という印象を強く受ける結果となる。  

所詮、コンシューマが納得しない事には、スマートグリッドの導入は成功しない、という考え方が、主要電力会社の間で理解が深まり始めている、という点と、その問題を解決するために、具体的な技術をもつIT系の会社のソリューションがスマートグリッド市場に入る、動議的な理由が社会的に認められた、という事が言えるのではないか、と言える。  

複数業界が入り混じるスマートグリッドの市場、各業界がどの様に棲み分け、協業をしていくのか、業界内・業界間の理解が必要になってくるが、北米ではその相互理解のステップが完了したと思うと、非常に大きな構造的な課題を解決した事による、今後市場が急速に成長するのでは、という期待も強くなる。  冒頭のPike Research社の市場の急成長も、そういう考え方の元では十分に理解ができる。

アメリカのオープンな市場は、こういう所が本当に強い、と改めて思う所である。

[#Cloud #クラウド] Amazon Web Serviceの登場で、企業が本当に考えなければいけない事:運用ガイドラインの提案

September 28, 2010
企業、特にエンタプライズにとって、クラウドコンピューティングはどのように使われているのだろうか? 最近多くなってきている記事は、企業の幹部の想像を大きく超えるクラウド利用が企業の中で展開されている、という内容のものが多い。

ある企業のCIOが、企業内のAmazon Web Serviceの利用状況の調査を経理部門に依頼したところ、何と50個ものAWSアカウントが存在する事が判明した、という事が報告されており、他の企業でも同様な状況を発見している。

北米においても、企業でのクラウド、特にAmazon Web Serviceの利用の現状については、意見が分かれている。 SMBやWeb2.0企業を中心として利用されて、大企業ではテスト・評価程度の利用しかない、という人と、大企業でのAWSの利用率は質・量と共に非常に高くなってきている、と述べる人と、大きく食い違う。

何故、企業の管理サイドが認識しない状態でクラウドコンピューティングの利用率がこれ程までに増えていってしまうのか、次の様な要因が考えられる。

調査会社である、RedMonk社のStephen O’Grady氏の分析が非常に興味深い。

RedMonkの調査によると、昨今の企業の中におけるIT技術の判断は、実質的には企業内のソフトウェア開発部門が実権を持っている、という興味深い分析結果がでている。オープンソースが登場し、企業の中で使われる様になってきた頃からこの傾向が強まった、と見ており、その影響で、いわゆるボトムアップ型のITソリューション導入をパターンが形成されている、と説明している。 このボトムアップ型のIT導入傾向にあるよって、会社の管理部門、特にCIOが皮肉にも企業内のITの状況を一番最後に知る事になる、という問題が発生している。

CIOが日頃接しているISVにもこのギャップを生む要因がある、とO’Grady氏は述べている。ISVの多くは、クラウドコンピューティングの非常にマージンの低いSubscription型のビジネスモデルを採用する事を基本的には避けたい、と思っており、従来の高マージン型のSIありきの導入プロジェクトを強くCIOに対して推奨する傾向がある、と指摘している。 特にクラウド側は価格競争に非常に長けているAmazon Web Serviceであればなおの事、避けたい、と思うところである。

当然、この傾向による問題点は管理部門とソフトウェア開発部門とのギャップだけに閉じない。組織が認識しない内に企業内のアプリケーションの導入が進み、企業内のガバナンス、特に個人情報、機密情報の管理にかかるルールや規制がアプリケーションが開発・運用を開始してから後付けであてがわれる、という状況が大きな問題となっている。 

レポートにおいては、企業としてどのようにクラウドを利用して行くべきか、いくつかのガイドラインを提案しており、今後の日本におけるクラウドソリューションの導入による際しても後付の導入ではなく、必要なところに積極的に導入できるProactiveな戦略の立ち上げが必要であろう、と述べている。

ガイドラインは下記の通り。

1。 企業としてクラウド状況がアプリケーションが運用する際のガイドライン等を早急に作る必要がある。

既に企業内でのクラウドの利用率はかなり高くなっている、という前提で、それをどのように企業内で管理、運用が出来るのか、ルール造りを進める必要がある。

非常に重要な要件は、各部門が意識していない、企業内のセキュリティ、監視、等の管理ルールをこういったアプリケーションに適用する必要がある、という事である。クラウドを導入する部門ユーザは、恐らくそういう問題に対しては殆どの意識せずに導入しているがケースが多いからである。O’Gradyは、これを Cloud Boomerang と呼び、利便性を優先したがために性急に導入したクラウドアプリケーションが企業内で結果的に問題を起こす要因になってしまう、という問題である。

クラウドアプリケーションを導入する際には企業内のIT管理を部門といっしょに評価を行うことがルール作りをする事の重要性を主張している。その際には、評価基準を必要十分の範囲にし、不必要な審査の時間をかけすぎない様にする配慮が必要である。 また、上記の企業内のコンプライアンスに関する要件は標準的に適用できる手法も必要であろう。

2。 コンプライアンスに関する分析、そして準拠のための手続きを明確にする

企業内のアプリケーションをクラウドに移行する、または新規のアプリケーションをクラウド上で導入する、等クラウドアプリケーションは様々な方法で企業内に入って行くが、いづれの方法においても企業内のコンプライアンス要件を満たす形で導入、運用が行われる必要がある。

クラウドアプリケーションをどの様な方法でコンプライアンス要件を満たすのか、専門のチームを企業内で組織化する必要もある。 

3。 クラウドアプリケーションへの投資については出来るだけコントロールできるる施策を

クラウドアプリケーションの企業内での浸透は、気がつかない内にドンドンと広がっていく、というのが特徴である。 初期投資が少ないうえに、コストも比較的安いため、非常に入りやすい、というのがその理由、とされている。 その広がり方はオープンソフウェアの広がり方と非常に似ている。

しかし、そのクラウドのコストも、広がりと共に総額が大きくなっていく、というパターンがよく見受けられる。どの様な使われ方なのかを分析した上で、計画的なクラウドの採用を促進し、従来のIT投資からの移行を図る、等の企業内IT戦略の見直しが必要になっていくる、と思われる。

重要なのは、社内のクラウド利用がコントロールできない状態まで放置しないために、早目に社内の仕組みを作っていく事であろう。

日本のIT市場においても、Amazon Web Services がどの程度企業内での使われているのか、把握するための手段、また利用状況が明らかになった時点で、どの様な対処をすべきなのか、社内のルールを明確にする必要がある、と思う。  一つの方法としては、完全日本シャットアウトする、というパターンがあるが、果たしてそれが長期的な視野で良策なのか、よく考える必要がある。  上記のボトムアップ型のIT戦略についてもある一定の評価を行い、効率性のいいアプリケーションは、その様な方法を積極的に採用する事も選択の一つである、と考えられる。その際には、十分状況をコントロールする仕組みは持ち、ガバナンス等、企業全体として必要な要件については十分対応できるる体制を持つ事が有効なのでは、と思われる。 

企業内に、クラウド採用・運用の専用組織が必要になってきている、と思われる。単純に技術的な評価だけではなく、コスト、ガバナンス、再利用性、等の面からも評価ができる専門組織が必要になってきている、と提案したい。

[#SmartGrid #スマートグリッド] 北米各州でのスマートグリッドプロジェクトの問題点の整理

September 27, 2010

電力事業者が新しい装置や機器を導入した際のコストを回収する為に、電力料金の値上げを行使するのはスマートグリッドに始まった事ではなく、昔から行っている手法である。  しかし、昨今のスマートメータの導入に伴う値上げには大いに問題がある、と各州で議題として取りあげられ、Ohio州やTexas州などのように、この慣習に規制をかける動きがでている。

Smart Grid Today誌の調査によると、Maryland州、Hawaii州、Michigan州、Indiana州、Colorado州、さらにVirginia州において、既にスマートグリッド導入による電気料金の値上げを禁止する条例の制定が行われている、との事。

多くのスマートメータ導入プロジェクトは、メータだけの導入に留まっている、という事が問題の原因である、と指摘されている。メータだけの導入では、その持っている性能を具体的なユーザメリットに活かす事が出来ない、という事である。 スマートメータを導入した各州は、「電力事業者がグリッドの信頼性向上」、「停電回数の削減」、「ソーラーパネルの導入に支援」等をメリットとして打ち出しているが、いづれもインフラの改善に関する内容で、ユーザの負担する電力料金値上げの妥当性を説明できる内容とは思えない。

AMI等、スマートメータを活用できるネットワークインフラの等、今後も積極的な導入が必要なシステムへの投資は、政府からの助成金や融資に期待するのではなく、民間の投資家からの支援に期待する事が重要である、という意見が多く登場している。 民間ではグリーンテクノロジーに積極投資する会社は多く、電力会社はその安定的な操業状態から、非常に信用力の高い投資になる、というメリットもある。 特に、セキュリティやプライバシーの保護に関するIT技術の導入はエネルギー省からも要求されており、専門家を含めた導入が必要になってくる。


下記に各州で行われている、スマートメータ導入に関する様々な問題点の整理を行う。各州において、PSC(Public Service Commission)、またはPUC(Public Utilities Commission)と呼ばれる州内組織が大きな役割を担っている。この組織は、州内のユーティリティ企業(民間、公共を問わず)の料金体系を監視する組織で、例えばスマートグリッドに関する予算状況、それに伴う市民に対する料金設定について、詳細に評価を行う機関である。各州で起きている問題は、主にPUC・PSCが指摘する形で露見し、料金値上げ等の申請にストップをかける、といった内容の動きが多い。

Colorado州、Boulder市

同市のスマートグリッドプロジェクトは、北米でも最も注目されていたものの一つであったが、電力事業者であるXcel Energy社の予算の大幅な超過が起因して、プロジェクト中断の恐れがでてきている程である。当初、$1530万ドルの予算でプロジェクトが完了する予定だったのが、現時点では既に$4210万ドルまでに膨れ上がり、最終的には一億ドルに達するのでは、という予測もある。 

Xcel Energy社 によると、予算超過の最大要因は、プロジェクトのパートナー企業の一つである、Current Group社に委託していた、通信インフラとして使用されるファイバーネットワークの工事にかかるコストであった、との事。

もう一点、大きな問題として指摘されているのは、プロジェクト自体が、州政府に対して、“Certificate of Public Convenience and Necessity,”と呼ばれる申請を行っていなかった、と指摘されているのは。 この申請を行う事によって本プロジェクトのコストが予算超過した際の補填を保障し、プロジェクトに対する投資の上限を設定できる内容のものである。この申請をしていなかった為に、Xcel Energy社は、コスト回収の為の電力料金の値上げを申請しており、州政府は$1100万ドルの値上げを承認している。

現時点において、Boulder市の住民でスマートメータが導入されている家庭は、全体の43%程度でほとんど本来の機能を発揮する用途に使われていない、との事。


Indiana州

現在、Duke Energy社は、当初のプロジェクトから大幅に縮小した計画書を改めて州政府に対して申請している段階。

当初の計画では、$4.5億ドルの予算で州全体に対するスマートグリッド導入の計画を立てていたが、州予算を承認する組織である、Indiana Utility Regulatory Commissionがこの計画を、「住民に対するメリットが見えない。」という理由で却下している。

修正に伴い、より小さなプロジェクトの申請が行われる事になった。今回は、予算$2200万ドルに下方修正され、スマートメータの台数も、80万台から、4万台に減らした。この縮小されたプロジェクトの結果をみて、その後州全体に適用するかどうかの判断を行う事である。


Michigan州

Michigan州の電力会社であるConsumers Energy社が当初予定だった、今後も5年間の$9億ドルのスマートグリッド予算を大幅に縮小し、$500億ドルに変更する事を発表している。

親会社であるCMS Energy社がスマートメータの導入コストの回収の為の電力料金値上げをMichigan州に申請しているが、同州のPSCから激しい規制を受けており、Elster社とのスマートメータの実証試験や、General Electric社とのWIMAXベースのAMI導入コストプロジェクト等も実施が危ぶまれている状況である。


California州

かれこれ一年以上も議論されてきた、Pacific Gas & Electric(PG&E)社のスマートグリッドの実証試験が民事訴訟までにエスカレートした問題は、PG&E社のカスタマーサービスの不備に大きな問題があり、スマートメータ自体は正常に機能している、という結論が下された。

事の発端は、Bakersfield市に導入されたスマートメータ。導入とともに同市内の家庭で電力料金が高騰した、という報告が多発し、PG&Eに対する訴訟にまで発展する、という自体になった。この状況を受け、PG&Eが電力を供給し、スマートメータを導入した他の地域、San Francisco、Marin County等でも同様な動きが発生し始めてきた。

事件の調査の依頼を受けた第3者機関である、Structure Group社のStacey Wood氏によると、調査の結果、導入された1378台、全てのスマートメータにおいて、不具合は見出されす、正確な電力消費情報を記録している、と報告している。

つまり、電力料金の高騰は、他に要因がある、という事である。

要員の一つとして挙げているのは、この夏の異常な暑さにある、と報告している。さらにもう一つの要因としているのは、過去のメータの内約5%は、正常に機能しておらず、実は本来より少ない電力消費を記録していた、としている。  

もう一つは、極わずかに新規電気料金の徴収にて誤りがあった事、さらに低所得者に対する割引システムにも誤りがあった事も指摘している。しかしStructure Groupが指摘しているのはその間違いではなく、顧客からのクレームを迅速に、そして正しく処理できなかった顧客サポート体制にある、という問題である。顧客に対する、スマートメータに関する紹介、そして導入によって何が変わるのか、という事を殆ど行っていなかった上に、顧客サポート態勢にも教育が行き届いていなかったのが現状のようである。

同じカリフォルニア州において、San Diego Gas & Electric社やSouthern California Edison社が同様なタイミングでスマートメータを導入しているが、こちらのプロジェクトは殆ど問題が発生していない、という事もあり、PG&E社の問題が大きく注目される結果に至っている。

今後衆議会は、Bakersfield市の民事訴訟をどのように扱うのか、さらに今後ほかの地域に導入が予定されているスマートメータを継続させるのかどうか、継続的に審議する事になっている。また、カリフォルニア州のこの一連の経緯は、同様な問題が発生しているてテキサス州等においても大きな関心の的になっており、カリフォルニア州だけに閉じる話ではなさそうである。

もう一つは、懸念としてあげられているのは、スマートメータが発生する強い磁場による健康被害の懸念である。Fairfax市などは、このような健康被害を懸念してスマートメータの実装計画を却下している、という状況である。


Hawaii州

他州に引き続き、Hawaii州のPUCもスマートメータの導入プロジェクトを差止めた、という情報が明らかになっている。Hawaii州の電力会社である、Hawaiian Electric Co.社が$1.15億ドルの予算を投じてスマートグリッドプロジェクトを計画していたが、コンシューマの電気料金の値上げに直結しないスマートメータ導入プランの提出をPUCに要求されている。

ここにおいても、コンシューマに対するスマートグリッドのメリットが明確に説明されているい、という事が問題視されている。


Maryland州、Baltimore市

Baltimore Gas & Electric社は、Mariland州のPSCに対して既に数回のスマートグリッド導入計画書の再提出を要求されている。 ここでも問題になっているのは、スマートメータの導入計画のコスト回収にコンシューマに対する料金をの段階的な値上げを計画している、という点である。

もう一つはBaltimore市が注目される要因がある。BG&Eはエネルギー省からのスマートグリッド導入助成金の満額である、$2億ドルを受け取っているため、プロジェクトの規模が他の州と比較して大きい、という点である。  もし、PCSに対する申請が却下される事にでもなれば、この$2億ドルの大金を政府に対して返却する必要がある。  

最近の動きでは、BG&Eの最新の申請書がPCSに受領され、スマートメータの導入プロジェクトがスタートできるところまできているが、電力料金の値上げについては、プロジェクトコストの総額、$8.35億ドルの25%以内、という制限がつけられている。

PSCの主張は、スマートメータの導入自体がコンシューマの節電に直結する、という説明がなされていない、という事である。実質的には、スマートメータを統合するエネルギー管理システムの導入も必要である、と指摘しており、その導入、実装も含めたBG&Eの計画案提出を要求している様である。

BG&Eの主張によると、このプロジェクトでコンシューマは$250億ドルの電力料金節約が実現できる、と述べているが、具体的にどのようなスケジュールや手法でそれが実現されるのか、あまり説明されていない事も指摘されている。


Texas州

Dallas市を中心としてOncor社が実施したスマートメータ導入プロジェクトは、カリフォルニア州PG&E社と同様に、民事訴訟に発展している。嫌疑は導入されたスマートメータが正常に作動せず、不当に高額な電力料金の請求につながっている、という内容。

訴訟内容は、その内容がかなり赤裸々である事もあって、全文がインターネット上に掲載され、物議を醸していた。下記がその文面の一部である。

While there may be certain potential benefits to the Smart Meters, ONCOR is not advertising that customers with smart meters will ultimately be charged different rates depending on when energy is consumed.

スマートメータにはそれなりのメリットがあるだろう、という書き出しに続き、Oncor社がコンシューマに対して電力料金の変更について教育をちゃんと行っていない事が問題である、と指摘している。

スマートメータを導入すれば即座に電気料金を自動的に節約できるのではなく、コンシューマが電気の使い方を変える、という努力も必要であり、それを正しくコンシューマに伝える事が重要である、という指摘である。

Baltimore市の状況を見ていると、スマートグリッド導入によって関する問題は、決して技術的な問題ではなく、マーケティング、教育の問題である、という事がよくわかる。  


Virginia州

同州の電力会社、Dominion Virginia Power社は、$6億ドルの予算を投じて、240万台のスマートメータの導入を計画している。 この大掛かりな導入計画の前に、現在既に55,000台のスマートメータの導入テストを州内2箇所で行っている。

州内のState Corporation Commission(SCC)は、この導入テストにおいて、12のDemand Responseプログラムを導入し、そのコストの回収を料金引き上げで回収しよう、という提案に対して反対の意見を述べている。 今後の議論が注目される。

SCCの意見によると、納税者に提供される価値に対して、要求されるコストの増大が大きすぎる、と指摘してる。これに対して、Dominion社は、スマートメータ導入によるコンシューマに対して負担は順次下げて行きたい、という方針を述べている。

まとめ

各州の電力料金は、州内の管理組織によって常に監視され、妥当な範囲に収まるように法律状況を、うまく組織が動いている。今回のスマートメータ導入による各州の問題は、コンシューマに対して導入のメリットが説明されないまま、料金値上げに踏み切ろうとする電力会社の姿勢を問われている、という点で共通している。そもそもスマートグリッドの導入プロジェクトの多くは政府、エネルギー省からの助成金がきっかけになっているケースが多いが、この助成金と同等の金額を電力会社が自己負担する、という条件が伴っている事はあまり論じられていない。電力会社が負担する必要のある半分の予算の捻出方法は、殆どの電力会社は料金の値上げに依存している、という状況が露見した形になっている。

最終的にはコンシューマが電力消費を上手に節約し、電力料金が値上げになっても最終的には電力事業者に支払う電機料金が削減出来ればいいのだが、現時点においては電力料金が値上げの動きだけが先行し、コンシューマに対する教育、アドバイスの提供、等のサービスに殆ど手が回っていない、という状況の各州の状況の様である。

スマートメータ導入に関しては必ずしも失敗ばかりではない、という事も言明する必要がある。例えば、Florida州、カナダOntario州、等、スマートメータの導入にある一定の成功を見ているケースもあり、こちらのケースについても調査し、分析を行うことが有効である、と感じる。ただ、成功事例は、あまりニュースとして登場してこない、というのが大変残念な話である。