[#Cloud #クラウド] SAPがAWSにアプリケーションを移植し、サービスを提供開始

September 25, 2010
SAPとAWS(Amazon Web Services)との接点が生まれる、とは誰が想像できたであろうか?

と言うと、少し言い過ぎだと思うが、自社クラウドインフラでSaaS事業を展開しているSAPがわざわざAWSのインフラを採用してまで展開するサービス事業というものはなんであろうか?

SAPの発表によると、自社のCarbon Impact OnDemand と呼ばれるアプリケーションの新規バージョン5.0を、AWSプラットホーム上で提供を開始する、と述べている。

このCarbon Impact OnDemandというソフトウエアサービス、企業の電力消費量を計測し、CO2排出削減に寄与する機能を持っている。 

SAPのVishal Sikka氏によると、今回のSAPプロダクトをAWS上で提供する事によって、
“That gives us a tremendous benefit of low-cost elastic performance and scalability,” 
「低価格でスケーラブル、尚且つ拡張性の高いAWSの特長をうまく活用できる事が我々にとっての大きなメリットである。」と述べている。

SAPは、OnDemandというキーワードの元でいくつかのアプリケーションサービスをすでに提供している。そのアプリケーション群の中で、Carbon Impact OnDemandは、企業の中でCO2排出に関係する様々なデータを収集し、Environmental Protection Agency(EPA)が規定している基準に準拠するためのレポートを作成する機能が提供される。

元々、SAP社が2009年に買収したClear Standards社の技術がベースとなっており、現在Autodesk社、Fisker Automotive社等がユーザである、と発表されている。

製品の機能はさておいて、むしろSAPが自社アプリケーションサービスをAWS上で提供する、
という事が非常に興味深い動きである、と言える。既に、Oracle、IBM、等の大手ITベンダーもAWSのサービスを再販している現状であるが、自社でもSaaSインフラを持っていて、尚且つMission Criticalアプリケーションサービスを提供できるクラウド事業者、という位置づけをAWSとの差別化要因にもしていたSAPが、敢えてAWSを利用する事、そしてその理由を”低価格で拡張性が高く、スケーラブルである” という理由で採用する、という事は、AWSのエンタプライズ市場での位置づけがかなり明確になってきていて、業界がそれを認識している、という事を示しているのでは無いか、と考えられる。

今までのAWSの持っていた、Web2.0 only、SMB Only、というイメージが急激に変わるタイミングが迫ってきているような、そんな印象を受ける記事である。

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[#SmartGrid #スマートグリッド] スマートメータからグリッド管理に投資が移行: スマートグリッドをシステムとして見る時代の到来

September 25, 2010

スマートメータの導入が資金の流入先であった今までのスマートグリッドの市場。 最近になってこの傾向が変わり、電力配信システムやサブステーション関連のプロジェクトへの投資の比重が高くなる傾向にある、という報告がでている。

今週の木曜日に発行された、エネルギー省(the Department of Energy)が発行した、Cleantech Group レポート(pdf)にその内容が記載されている。 

このレポートによると、2010年のスマートグリッドに関する製品購入の総額は約$27.5億ドル、ほぼ同額の量がスマートグリッドサービスに使われている、という内容である。 北米サイドで政府が公式に発表している、スマートグリッド全体にかかっている金額は約$50億ドル、という計算になる。

この内訳を製品技術毎に分類すると、次の様になる。
・  スマートメータリング(AMI含む)= $11億ドル
・  分散グリッド関連のシステム = $15億ドル
・  デマンドレスポンス =  $15万ドル
・  サービス収入 = $11億ドル

このレポートで顕著なのは、分散グリッドシステムにかかっている金額の大きさである。その大きな要因は、グリッドサイドのインフラに要する機器のコストがスマートメータにかかるコストと比較して格段に高額になる、という点である、と分析されている。

このレポートでは、スマートグリッドの市場におけるベンチャー企業の位置づけについても論じている。スマートグリッド業界のスタートアップに対するベンチャーキャピタルの投資の総額、$17億ドルは、主としてスマートメータ関連の製品技術、もしくはHEMS(ホームエネルギー管理)、BEMS(ビルエネルギー管理)の技術の開発に流れ、スマートグリッドビジネスのほんの一部にしか流用されていない、という事を述べている。

分散グリッドグリッド管理システムになると、その売上の大方は、業界におけるレガシーベンダー(ABB、Siemens、General Electric、等)に流れ込む事が予測されている。ただし、この市場に、新たなプレイヤーとして、Cisco、IBM、Google、Lockheed Martin、等が参入しつつある、とも述べている。

また、スマートグリッドの業界は、M&Aがかなり活発化していて、2007年には10件だったのが2009年には30件に増加している。今後さらに増加するもの、と予測されている。

デマンドレスポンス業界については、逆にあまり成長が見られていない、という内容の報告もある。 ここでいうデマンドレスポンスとは、ユーティリティ事業者の需要ピーク時の負荷を下げるために電力消費の激しいところの制御を行うための技術を指す。これらのベンダー、EnerNoc社、Comverge社、CPower社(最近Constellation Energy社に買収)等はサービスを提供する事によって収益をあげるが、あまり技術に対する投資は活発ではない、という傾向がある。 今後はHEMS等との連携で新規技術投資が少し増加する傾向になる、と予測している。

明らかにスマートグリッド業界がハードウェア中心、それもスマートメータを中心とした業界から、ネットワーク、ITを絡めたシステム化中心の市場に移行している姿が数字の上で見えてきている。 政府からの助成金が頭打ちになる中、今後レガシーベンダー(General Electric、ABB等)の活発な動きに加え、スマートグリッド新興企業(Cisco、Google、等)の積極的な参入が入り混じった非常にユニークな市場が展開される、と見られる。  ハードウェア・インフラ中心のレガシー市場と、ICTとインターネット技術を駆使する新興企業との間のしのぎあい、というイメージで捉える事もできるのでは、と考える。

[#DataCenter #データセンタ] HPのFlexible Data Centerコンセプトに学ぶ、コンテナデータセンタからモジュラーデータセンタ…

September 23, 2010

写真は、HPが顧客向けのモジュラーデータセンタの組み立てを行っているテキサス州、Houston市にあるPODbase Facililtyという場所。

一時期、大変話題になっていた、コンテナ型のデータセンタ、という話が最近になって、モジュラーデータセンタ、という言葉に置き換わっている。 

HPのKen Baker氏によると、最近のデータセンタのデザイン技術は、集約化と共にコンテナ、というISO規格の箱に押し込める事に限定するのではなく、広義の意味でのコンポーネント、つまりモジュラー化の動きが主流になっている、と述べている。 

HPのCritical Facilities Services部門のColin Coyle氏によると、「コンテナにデータセンタ機能を詰め込むことにかなり早い段階で限界を感じ始めていた。 」と述べている。 

HPはこういった限界を認識すると共に、Flexible Data Center構想を固め、7月にそのコンセプトを発表している。

下記が同社のFlexible Data Centerを紹介しているWhite Paperである。

「HP Flexible Data Center—A new approach to industrialized IT」

http://h20195.www2.hp.com/V2/GetPDF.aspx/4AA2-1533ENW.pdf

これと並行して、HPは先に発表しているコンテナ型のデータセンタ、Performance Optimized Datacenter (POD)の製品化も進めており、現在、4世代目のデザインを完成させている、との事。

HPが今後提供する上記のモジュラーデータセンタのデザインに下記の様な新機能を提供する事を表明している。

(1) 空冷方式の採用

従来のPODは水冷方式を採用しており、代わりに空冷方式を取り入れると、コンテナの外に暖められた空気を排出するだけで済むので、コンテナを密に重ねることが可能になる上に、コンテナの外をHot Aisleとして扱うことが出来る。

(2) 鉄骨枠のモジュールの採用

従来のISOコンテナでは、形が定型化しており、広い応用ができない、という問題があった。 鉄骨建築の技法を採用することにより、自由に形を変えることが出来ると共に、外側に違う素材を使用することができる。  例えば、政府向けの案件において、EMI(電磁波)を反射する素材や、防弾加工がされた壁を採用しているケース等が増えている。  

(3) 重量の問題

ISO標準のコンテナは、40フィートモデルでその重量に6万ポンド(約30トン)、というISO規格上の限界がある。  最近の集約化の技術をもって、この限界を超える荷重のコンテナが登場しており、ISO規格外の強化された躯体(鉄骨)に入れる必要が出てきている。 規格以上の荷重になると、運搬するトラックの搭載制限、運搬時に通る橋の荷重限界、等の問題が発生する。 

日本でもモジュラーデータセンタに関する消防法等の規制が緩やかになる、という報道があるが、北米では、必ずしもコンテナに限定されない、様々な形でのモジュラーデータセンタのコンセプト、製品化が進んでいるようである。 HPの推進するFlexible Data Centerのようなモデルになると、もう完全に既存のデータセンタを置き換えるモデルになるコンセプトになる。 既存の建築物の中にデータセンタを入れる発想と、コンテナデータセンタの発想との間の境界線が段々となくなっていく事も大いに考えさせられる。

http://feedproxy.google.com/~r/DataCenterKnowledge/~3/Y5d4Ja-S7GY/

[#Cloud #クラウド] Oracleがとうとうクラウド事業に本格参入することをOracle WorldでEllison氏が表明:プライベートクラウド…

September 21, 2010
一部では予想されていたが、Oracleがとうとうクラウドの戦略を明らかにし、クラウドビジネスへの参入を正式に表明した。

戦略の名前は、Exalogic Elastic Cloud と呼び、プライベートクラウド向けのハードウェア/ソフトウェアシステム製品。
30台のサーバ、それぞれ6台のコアCPUを搭載し、CPU同士をInfinibandで接続する、という構成。 OSはLinux、もしくはSolarisを選択でき、Oracle社が得意としているミドルウェアの製品ラインアップは充実している。 

Oracleの正式ページはここ
http://www.oracle.com/us/products/middleware/exalogic/index.html

発表の席上に於いてLarry Ellison氏は、“Exalogic is one big honkin' cloud" と述べている。
Exalogicはそれ自体が巨大なクラウドインフラである、という意訳になる。
以前、Ellison氏は、クラウドを否定する人間の一人として、かなり厳しい意見を述べていた人間であるが、ここに来て改めてクラウドの存在を認めるどころか、自社のクラウドのソリューションをハードウェア主体のシステム事業として位置づけた理由はどこにあるのか、業界ではいろいろと意見が飛び交っている。

Ellison氏は今までの自分の言動に対して、こう述べている。
"People use the term to mean very different things. I’ve actually been very frustrated and outspoken,"
“Too many existing technologies have been reborn and rebranded cloud computing,"
「クラウドコンピューティングの定義が各社によってあまりにも異なっていた事が問題であり、それに対する不満は述べてきた。 既存の技術を単に形を変えただけなのに、クラウド、と呼んでいるケースが多すぎる。」
相変わらず、今日のクラウドに対して持っている批判的なスタンスに対しては修正はしていない。

一方では、クラウドコンピューティングの”理想的な”事例は2つある、と述べている。

一つは、Amazon Web ServiceのEC2。  これはオンデマンドで仮想化されたマシンインフラの上をアプリケーションが自由に利用出来る、という点において、クラウドコンピューティング、という言葉を定義した、という点で貢献している、のEllison氏は述べている。

Oracleの提供するクラウドソリューションは、AWSと同じコンセプトの基づく、「クラウドコンピューティング=プラットホーム」である、と主張している。  OracleのクラウドソリューションがAWSが唯一異なる点は、すべてファイアウォールの後ろで稼働する、という点である、と述べている。

一方では、Salesforce.comの提供するソリューションについては、「On-Demand CRMソリューションではあるが、単にインターネット上に一つもしくは2つのアプリケーションを動かしているに留まっている」、と述べている。 

Exalogicは、広い範囲のアプリケーションをサポートし、特に自社のSiebel、E-Business Suite、そして新しく発表した、Fusionをサポートする、と発表している。

Exalogicは、元々は2008年に発表した、Exadataと呼ばれるデータベースマシンをベースとしており、それに買収したSun Microsystems社のソフトウェア技術を統合したもの、と説明されている。

興味深いのは、先日までHPのCEOを努め、スキャンダル事件で首になった後、Oracle社に採用されたMark Hurd氏がこのExalogicの事業責任者になる、ということである。  HPとOracleの間の競合関係は、このクラウド事業を起点にさらに激化するもの、と想像される。 

プライベートクラウドがすなわち、Oracleのクラウドである、という事がここではっきりした、といえる。
以前からプライベートクラウドが本当のクラウドなのか、という疑問を投げかける議論が多く登場しているが、ここでOracleが進めるクラウド事業は、AWSの進めるクラウドと大きく違う点がある。
1) 特定のハードウェアを顧客が購入することが前提になっている。
2) IaaSレイヤーの上のミドルウェアもOracle固有のソフトウェア、という限定がある。
3) 企業として利用出来るのは、Exalogicと呼ばれるハードウェアが一つの単位。  これ以下の小さなインスタンス直接は導入できない。

NISTでも定義されている、パブリッククラウドの元々の価値は、早く、安くコンピューティングリソースを導入することが出来る、という点である。  Oracleの提供するクラウドソリューションはそのいづれも提供する事を目的としていない、という点は認識する必要がある。  一方では、パブリッククラウドの問題点である、セキュリティ、プライバシー、SLAが不十分である、という点は、Oracleが自社のエンタプライズ向け事業でのノウハウをフルに活かし、Exalogicでは解消される、と期待すべきである。  パブリックとプライベートのクラウド事業、名前は似ているが、段々と異なるビジネスモデル、顧客ターゲット層を狙う別々のビジネスになっていく事が、今回の発表でいよいよ明確になった、といえる。 

パブリッククラウドサイドの方から見て、今回発表されたOracleのクラウド戦略は、「クラウドではない」、と評価する様な内容の記事が今後多く登場してくるものと想定される。  ただ、こういった、高セキュリティ、高SLAのシステムのニーズは今後も成長していくのは明らかであり、批判とは裏腹に市場としては伸びていくもの、と考えられる。 

[#Cloud #クラウド] Amazon Micro Instances: 小さな単位のCPUリソースを提供、かなり戦略的な価格で登場

September 20, 2010
Picture Credit: Allthingsdistributed.com
先日発表されている、Amazon Web Servicesの新しいサービスモデル、Micro Instances、実は、Rackspace Hosting社が自社のVPS(Virtual Private Server)クラウドサービスとして以前から提供していた事は意外と知られていない。  Rackspace Hosting の提供しているVPSサービスは、わずか256MBのRAMを搭載したLinux Cloud Serverを採用し、一時間あたり1.5セント(月額で約$10.95程度)の価格で提供している。

Amazon Web Services の提供するサービスは、明らかにRackspace Hosting社のサービスへの対向を狙ったもの、と言える。  

そもそも、Micro Instancesは、クラウド上で提供されるCPUインスタンスを非常に小さな単位で提供し、ニーズの上昇と共に小さな単位でバースティングするモデルを指す。主として、
次のような負荷の低いWebサーバのニーズに対応するサービスに利用される。

  • DNSサーバの、ロードバランサー、プロキシーサーバ、等、トラフィック量が低いサーバ
  • データアップデート、システム監視、等のcronの様なジョブスケジューラが稼動するサーバ
  • トレーニング等、教育用のサーバ
こんな様なシステムコンポーネントまでも簡単にクラウド化できる時代になっているのである。

AWSの提供するMicro Instancesは、613MBのメモリを搭載し、EBSストレージのみを提供する。Linuxに加え、Windowsを32ビット、64ビットの両環境で提供され、さらにCloudWatchというシステム監視サービスも提供され、負荷状況の把握ができる様になっている。価格体系は、On Demand(通上の価格)に加え、Reserved Instances(長期契約)、Spot Instances(オークション)も提供される。

価格は、Linuxが一時間あたり2セント、Windowsが一時間あたり3セント、と非常に安い。また、Linux版のReserved Instanceの価格帯は、さらに安く、年間契約の場合は 0.7セント/時間、とRackspaceを下回る、異常なまでの安さである。

価格戦略では相変わらず積極的な動きを見せるAmazonであるが、今回のように単なる値下げ戦略を取るのではなく、必ずターゲットがあった上での戦略である、という事を分析しながら今後のAmazonの戦略を見極める必要がある。  

日本市場にAWSが登場する日は近いが、いよいよ事業を開始し、競合各社の動きを見据えながら、最初に誰をターゲットにするのか、非常に興味深いところである。AWSに対向するサービスを提供するIaaSベンダーとしては、どの様な価格戦略で対向すべきか、検討する必要があるが、今までのAmazonの値下げ戦略(過去に10回ほど実施)を参考にする事ができる、
と言える。

[#Cloud #クラウド] IPOの可能性も示唆されているSilver Springs Networks社の幹部2名が会社を離れる

September 20, 2010
Silver Spring Networks社の幹部が2名が、同社を離れている、という事が明らかになっている。
Silver Springs Networks社は、IPOを計画していることで話題を集めているが、そのさなかでの退職は異例の事として話題になっている。 

退社したのは、下記の2名;

Judy Lin:  Chief Product Officer
同氏は、元はCiscoのEthernet Switching Groupから移ってきた人間で、当時はCiscoとSilver Springs社との間のライバル意識がかなり高まってきた最中の移動である。

John O'Farrell: Executive Vice President of Business Development
O'Farrell氏は2008年前半にSilver Springs社に移ってきた人間。  Silver Springs退社後は、Andreessen Horowitz(Venture Capital)に参加した、との事。

AMI技術を持っているベンダーが数多く登場し、Silver Springsはその先駆け的な存在で、$2.75億ドルの資金を調達しながら市場の大きなシェアを構築し、CiscoやGEの様な大きなプレイヤーの登場も促してきた要因を作っている。  いまではCiscoとの競合も非常に厳しくなってきており、先日はItron社との戦略的提携、ArchRock社の買収等、動きが激しくなってきている。 

http://feedproxy.google.com/~r/greentechgridtech/~3/u5d2Qp6olNU/

[#Cloud #クラウド] AWSの値下げ攻勢:10回目に達し、改めてIaaS市場の激しさを分析

September 12, 2010
VMWorld開催中の期間を狙ったのかどうかは定かではないが、Amazon Wed Serviceがまた、自社のサービスの価格値下げを9/1に発表した。

今回は、High-Memory Double Extra Largeインスタンスと、High-Memory Quadruple Extra Largeインスタンスの2つのCPUサービスが対象で、19%の値下げを刊行している。

いづれも、大量のオンボードメモリを必要とするデータベースアプリケーションやmemcache等の用途で利用されるマシンイメージで、金融アプリ等、リアルタイム性の高いアプリケーションでの利用が促進される事が予測されている。

同社のブログで詳細が記述されている。
http://aws.typepad.com/aws/2010/09/amazon-ec2-price-reduction.html

この発表の中身の詳細はさて置いて、この値下げの発表はAmazonにとって、過去一年半の間で10回目に当たる、という点に注目したい。

下記がとあるサイトが調査した、値下げに関わる発表の内容を整理したもの。

AWS Price Announcments

  • Reserve Instances: リザーブインスタンスの登場(CPUリソースをまとめ買いした時の割引制度)
  • Lowered Reserve Instance Pricing: リザーブインスタンスの値下げ
  • Lowered EC2 Pricing: EC2の価格帯を値下げ
  • Lowered S3 and EU Windows Pricing:  S3と、EU Windowsサービスの価格値下げ
  • Spot Instances:  スポットインスタンスの登場 (余剰CPUリソースをオークション形式で販売する制度)
  • Lowered Data Transfer Pricing:  データ転送価格の値下げ
  • Combined Bandwidth Pricing:  EC2, S3, RDS, SQSで使用する通信費を全部一括支払い
  • Lowered CloudFront Pricing:  CDNサービスの値下げ
  • Free Tier and Increased SQS Limits:  SQSの価格体系変更
  • Lowered High Memory Instance Pricing: 今回の値下げ発表

値下げを行うサービスの種類、そしてその値下げの程度は、本業であるe-Retailing事業から引き継がれているDNAが大きく寄与している、と考えられる。当然ながら、その値下げの戦略は、ユーザ獲得を目的としているが、その上に特定の強豪相手をターゲットにしたビジネス戦略が織り込まれている、と考えるべきである。  また、値下げをする程度を見極めるためには、自社内のコストと売上の性格な把握、さらに短期、長期の売上予測がかなり内部で正確に、さらにシステマティックに行われている、と予測するべきである。 

追随するクラウドプラットホームベンダーとしては、AWSと競合する/しないは別として、この辺のノウハウの構築、「サービス事業+ユーティリティコンピューティング事業」という点から今後のビジネスモデルとし整備していく必要のある機能ではないか、と強く感じるところである。

市場のニーズに押されてクラウドサービスを始めたはいいけど、どうも事業収益に繋がるのかどうか、よく見えない、という不安をもったままReactiveに市場参入するのはできることなら避けたいところではある。 

上記の記事を掲載したサイトは、さらにAmazon Web Serviceの発表している、技術的な機能拡張に関するアナウンスも統計をとっており、次の表にまとめている。

aws-feature-releases-by-year

見ての通り、価格戦略だけではなく、機能の拡張についてもかなり積極的に行っている、という事が見える。  市場のリーダー格の地位を維持するためにはこの面での努力も非常に重要視している、という事がわかる。   この点に於いても、IaaSベンダーとしては重要視すべきで、クラウドプラットホーム事業は常にイノベートし続けるビジネスモデルであること、さらに他社が実施していない、ニッチな市場セグメントを常に開拓し続ける必要がある、という事を認識するべきであると思われる。 

IaaSをユーティリティコンピューティングと呼ぶことが多いが、「ユーティリティ」という言葉がもつ、ゆったりと構えたイメージとは裏腹に、上記のような激しい攻略が展開されている厳しい競争の市場である、という事を改めて認識する記事である。

http://feedproxy.google.com/~r/neoTactics/~3/waLuvzP56GI/aws-price-reduction

[#SmartGrid #スマートグリッド] CiscoがItronと戦略的提携

September 8, 2010
ネットワーク機器の大手、Cisco社とスマートメータの大手、Itron社が事業提携を発表し、共同でスマートグリッドソリューションを提供する事を表明している。

両社の合意事項は次の通り:
1) スマートグリッド向けのオープンな共通通信規格を作る。
2) ItronがCiscoの技術を自社のOpenWay製品にバンドルして販売する。

この共同の通信規格というのは、オープン仕様として市場に公開する、としており、他のパートナーも募っている。問題は、GE等、他のスマートグリッド市場をプレイヤーも同様な規格を作っている、ということである。

スマートメータのベンダーが今一番悩んでいるのは、自社の導入したスマートメータが
生成する大量のデータをどの様に収集して、管理するか、というソリューションを出す事ができない、ということである。Ciscoの様にネットワークインフラでの強いポジションをもつ会社と組む事により、このデータの統合管理を行うシステムをSIソリューションとして一緒に提案できる様になる、という事がItronにとって強力な武器になる。

これもスマートグリッド市場が電力事業社中心の市場から、ネットワーク事業、IT事業の市場に移り変わりつつある、という事を示す動きである、と言える。

[#SmartGrid #スマートグリッド] GridNet社がLandis+Gyr社と戦略的提携

September 8, 2010
Landys+Gyr社と、GridNet社が事業提携を発表した。
次の内容の協業がアナウンスされている。
1)  Landys+Gyr社がGridNet社のソフトウェアをAustraliaとNew Zealand市場に向けて自社のスマートメータ、スイッチとともに再販する。
2)  Landis+Gyr社のWIMAXベースのデバイスにGridNet社のソフトウェアを実装する。

Australiaのスマートグリッド市場は、WIMAXを採用している案件が多くの、WIMAXを強力に推進している数少ないAMIベンダーであるGridNet社としては、非常に有望な市場である。 General ElectricがSP Ausnet社に導入したスマートグリッド実証試験等で大きな実績を実績もあげている。 

Australiaのスマートメータ市場は、約2000万台である、とGridnet社は見込んでいる。

一方、北米市場では、Silver Springs Network社の様な独自使用のメッシュネットワークが主流である。  WIMAXがまだ高額なソリューションである、というのがよく出てくるコメントである。

今日、General Electric社とLandis+Gyr社の2社で市場の45%を独占している、という統計が出ている。 この中でWIMAXのシェアはごくわずかであり、こういった戦略的な提携を通して市場を広げて行く事は、Gridnetにとっては重要な戦略になる、と言える。

[#Cloud #クラウド] Swarm Computing:Intelの新しい戦略

September 8, 2010
Intelが先ごろ発表したMcAfee社の買収を通して、Intelが狙っている次世代のコンピューティング環境についての分析が様々なところで行われている。
Infoblox社のGreg Ness氏によると、Swarm Computingとい新しい市場の登場を提唱しており、今回のIntelのMcAfee社買収がこの新たな市場に対するアプローチである、と予測している。

Swarm Computingは、最近話題になっている、Ambient Computing、Pervasive Computing等といったキーワードと同様に、元々の源流をUbiquitous Computingに持つ。Ubiquitous Computingは、Xerox PARC研究所の当時Chief TechnologistであったMark Weiser氏が1980年代から1990年代にかけて提唱した言葉で、MITのOxygen Project、MEMSのSmart Matter Project、等、数多くの文献が登場し、一時期話題になった。基本的には、多くのコンピューティングデバイスに囲まれた状況の中で、人間がどの様にそれを利用するか、というコンセプトである。  

Intelがこの動きに向かおうとしている根拠は、Intelの製造するCPUの市場が従来のPC市場から、急激にネットワークデバイス(スマートフォン、タブレット、等)中心の時代に変遷している、という事である。

ネットワークデバイスの数は、既にコンピュータの数を超えている、と言われている。毎年増えるネットワークデバイスの数は、1999 年に存在してた全てのデバイスの数を超えている。これらのデバイスのCPUを製造するIntelとしては、この事実に注目しないはずが無い訳である。

すなわち、今日の「ネットワーク」、と呼ばれるものは、PCのネットワークではなく、もはややモバイルデバイスのネットワークである、ということである。

“More than 1 billion mobile devices will access the Internet in the New Year, research firm International Data Corp. (IDC: 33.83 +0.03 +0.09%) says. That’s catching up to the 1.3 billion users that use a PC to go online, and the rate of growth for mobile users is 2.5 times the growth rate for PC use.”
IDCの予測によると、来年頭には、10億台のモバイルデバイスが市場に存在し、オンライン接続しているPCの総数である13億台に迫る勢いである。モバイルデバイスの伸び率はPCの伸び率の2.5倍であり、逆転するのは時間の問題である。

これだけの数のネットワークデバイスが接続し、相互通信が行われる環境において、Intelの最大の関心は、セキュリティを如何にハードウェアアーキテクチャレベルで確保するか、ということである、 当然、ネットワーク上のアプリケーションやミドルウェアのレイヤーでセキュリティを確保する事も発想としてあるが、果たしてこれだけ分散化した環境で上位のソフトウェアが下位のハードウェア、ネットワーク機器環境通信プロトコルまでをカバーできるセキュリティを確保する事ができるのかどうか、という疑問が出てくる。  

Intelのコンセプトは、ハードウェア、それもCPUレベルのプロセス間通信のレイヤーで強固なセキュリティを確保してはじめて、上位レイヤーでのセキュリティ実装が可能になる、という考え方にあるのでは無いか、と類推する。

そのハードウェアレベルでのセキュリティプロトコルに関して、今回の買収で独占的な仕様を作り上げ、市場に一挙に投入することができるのであれば、非常に戦略的な買収である、
という事ができる。  AMD等はどういう動きを取るのか、非常に興味が湧くところである。

個人的には、クラウドコンピューティングの新たな時代に向けたアーキテクチャの登場、と解釈しようとしている。 VMWare等の仮想化技術をさらに超えた、真のUbiquitousクラウド、という感じだろうか?  スマートグリッド市場で大きく伸びている、AMI技術と非常に近いアプローチである、という事も非常に興味深い。